約 220,415 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1798.html
うかつだった。 そんなことをぼんやりと考える。 「どうしたのマスター?」 耳元でわめいているちび人形を無視して、もう一度思う。 うかつだった。 「どうしてマスターはボクのことを無視したがるのかなあ?」 「……うるさい、気分が悪いんだよ」 脂汗のにじむ額をぬぐって、肩にのったちび人形に毒づく。 「ひどい汗だね」 「……こんなに人がいるところにきたのは久しぶりだから、気持ちが悪くなったんだよ」 人いきれに酔った僕は壁にもたれかかりながら荒い息を吐く。 「そっか、マスターって引きこもりだもんね」 「……………」 言い返す気力も出ないまま、大勢の人間が出入りするそのビルを見上げる。 でかでかと掲げられたポスターには白いアーマーを着込んで、ジェット戦闘機のウイングのような羽を背負った少女と、つい先日、僕が部屋でいじっていたアシストアームを背負った、僕の肩に乗ったちび人形そっくりの少女が戦っているところが描かれている。 そしてそのすぐ下には看板をかねたアルファベットが立体的に浮き上がっている。 SHINKI CENTER それがこのビルの看板だった。 「あの……神姫バトルがしたいんですけど……」 受付カウンターで恐る恐る声をかけると 「はいはい、初めてですか?」 「あ、はい……」 カウンター越しに受付の女の人が愛想笑いを浮かべて言う。 「BMAだったらそのまま参加手続きができるんだけど、VBLに新しく登録する?」 「VBL……?」 BMA……武装神姫バトル管理協会については、神姫のことを調べている時に知識を得ていたけれど、VBLという言葉については聴いて記憶がなかった。 「最近できたリーグでね、バーチャルバトル専用のリーグなの」 「バーチャル……?」 「ええ、神姫バトルがいくら安全って言っても絶対ってことはないし もしかしたら神姫が壊れちゃうかもしれない。それでなくても試合の度の消耗品だって少なくないでしょ? そこで新しくできたリーグね」 僕が子供だからか、少しだけ営業スマイルを引っ込めてその人が説明する。 「……BMAのままでいいです」 少しだけ考えて、そう答えていた。 「いいの? 修理とか大変だし、まず大丈夫だとは思うけど、神姫ロストの可能性も……」 「壊しあいでしょ、神姫バトルなんて。それにバーチャルデータなんて自分の部屋でも出来ることをするために、わざわざここまで来ても仕方ないですし」 馴れ馴れしい口調に少し苛ついて、はき捨てるように言ってしまった。 「でも……」 なおも、聞き分けのない幼児を教え諭そうとする保母さんみたいな言葉がつむがれる。 「……っ!」 それにますます自分の神経がささくれ立って行くの自覚していたところで…… 「そうだね」 耳元で聞きなれた声が響く。 「ボクはここにホントの戦いをしにきたんだから、バーチャルバトルなんて、興味ないよ」 ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべてチビ人形……ジェヴァーナが言う。 「いいの?」 心配そうな視線が僕からジェヴァーナに移動する。 「もちろん。ね? マスター」 「あ、ああ……」 「ちなみにマスターも初心者だから、Cランクでヒマの人ね。そんなに戦闘経験がない人の方がいいけど、ランクさえあえばあとはいいから。ステージはできればシティで」 毒気を抜かれてうなずく僕の代わりに、ジェヴァーナが矢継ぎ早に受付の人に言いつける。 「うーん……はい、わかりました。それじゃ手続きしておきますから、ティールームでお待ちください」 「よろしくね、お姉ちゃん♪」 僕のことは置いてけぼりな感じで、ジェヴァーナがフォローするみたいに笑顔を向ける。 「……どうも」 なんとかそれだけ答えて、申請のためにオーナーカードをチェックしてもらい、僕たちはカウンターを後にした。 ……なんだか、無駄に疲れ続けてる気がするな…… やっぱり外出なんて、するもんじゃない。 このちび人形にそそのかされて、実際のバトルでデータを取ろうなんて考えたのが、すべての間違いだ。 ……それにしてもなに考えてんだ、こいつ。 ジェヴァーナが壊れても別にかまわない。 そんな意味に取られて当然の発言に、こいつは追従した 所詮、神姫はオーナーに絶対服従するように作られているだけと言えば、そうなんだろうけど…… それでも、少しだけほっとしてしまった気がする。 なにに? ジェヴァーナが……僕を信じてくれたことに? ……ばかばかしい。 そんなこと、こいつが考えているわけないし、そもそもそう見えるようにプログラムされている神姫がオーナーに不利なことを言うはずがない。 ただそれだけの…… 「マスター、またなんかひねくれたこと考えてる?」 「……なんだよ。それ」 「だって、こーんな目してるんだもん」 ジェヴァーナのやつが、イヤミな笑みを浮かべながら、目の横に指をやって、横にひっぱる。 「そんな顔してないだろ!」 「自分の顔は自分では見れないもんね」 「見なくたってわかるさ」 「見ないとわからないから、リアルバトルをしたいんじゃないの?」 「ホントに口が減らないな、お前……」 ……だけど、こんな会話が以前ほどうっとうしくなくなっているのを感じる。 慣れって怖いな。 「まーたなんか、ひねくれたこと考えてる」 「いい加減にしてくれ……」 ほとほとあきれてそういったところで…… 「あ、マスター、あれ!」 「……?」 ジェヴァーナがティールームに設置されたディスプレイを指差していた。 そこには、僕とジェヴァーナの名前が表示されていた。 それがゆっくりとスクロールしていく。 「決まったな。お前のデビュー戦」 「違うよマスター」 横目で僕を見ながら、ジェヴァーナが否定する。 「……ジェヴァーナの」 バトル前に余計な口論をするのも面倒だったので、素直に訂正しておく。 だけど…… 「それも違う」 「……?」 再びジェヴァーナの否定が返ってきた。 「ボクのデビュー戦じゃない。ボクたちのデビュー戦なんだよ」 「……戦うのはお前だろ」 「それでも、だよ。ボクとマスターが戦うんだ。このバトル……ううん、すべての神姫バトルは神姫とそのオーナーが戦うんだよ」 「BMAかなにかの受け売りか? それともそう言えって出荷段階でプログラムされてるのか?」 「プログラムなんかじゃないってば。武装神姫だったらみんな最初から知ってる心に刻まれてることだよ」 「……それが焼きこみプログラムとどう違うんだよ」 「わからないかな。とっても簡単な事なのに」 くすり、となぜだか少し大人びて見える笑みを浮かべる。 「どういう……」 「変な名前」 聞き返そうとしたところで、とたんにその表情は消えて、いつもの少しからかうような、小生意気なだけの表情が取って代わる。 「……?」 ジェヴァーナの視線を追うとそこには僕たちの名前がスクロールアウトし終わって、その対戦者……つまり、ジェヴァーナの相手の名前が表示されていた。 「えいせん?」 「ドイツ語だろ。鉄……っていうか、クロガネってニュアンスの意味だったはずだ発音は確か……」 小説かなにかで見覚えのあるそのアルファベットの並びの発音を口にする。 「アイゼン」 視線の先、ディスプレイの対戦表には、 『U1 & Eisen』 と表示されていた。 「トップへ」/「戻る」/「次へ」
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2647.html
ビックリした。 途中から、シオンになんでか知らないけど、通信を切られてしまった。 驚いたのはそれも理由の一つだ。 だけど僕が一番に驚いたのは、 ――シオンが勝てたことだ。 あのムルメルティア型になにか言われてたかと思ったら、突然、あの丁寧な物腰の神姫シオンが今まで見たことないくらいに大激怒した。 怒った後はまるで別な神姫に変わったように、練習でしか使えてなく本番のバトルでは一切使えていなかった武装を巧みに使い、勝利を掴み取った。 僕が興奮冷めやらぬ状態なのに対して、アクセスポッドからはオドオドとしているシオンが出てきた。 「すいません、螢斗さん。命令を無視して通信を切――」 「やったじゃないか、シオン! ハハハ!!」 「え、ちょっと螢斗さん? ……きゃっ!」 シオンの脇部分に手をやって軽く持ち上げている。でも、僕の頭より高い位置に。 まあ、俗にいう子どもにやるたかいたかい状態だ。 シオンが勝ち星を挙げたことで、また僕のテンションがおかしい。 けど気にしない! 「きゃーー、螢斗さん~!?…………うふふ、あはは~」 シオンもなんだかこれが楽しくなってきてきて、笑いが込み上げてきたみたいだ。 「アハハ!!」 「やったぜ!! 螢斗!」 「シオン、やったわね!」 そして、淳平とミスズも喜んでいる。 うん、バトルも勝てて万々歳、良かった、良かった。 「――ったく、負けちまったか。せっかく替え玉が手に入ると思ったんだがな~」 チンピラさんがいつの間にか近くに寄って来ていた。 ため息を吐いて残念そうにそう言う。 狂喜乱舞していた姿を見られていて僕もシオンも、急に恥ずかしくなってしまった。 「さぁ、負けたのだから、さっさと出て行くのだよ」 君島さんが僕の前に出て来て偉そうに言っている。 あなたは何もやっていないでしょ? 勝手に喧嘩吹っ掛けただけですよね。 「はいはい、わかったからよ。そう急かすな……行こうぜ、『コハク』」 気付かなかったけど、ムルメルティア型の神姫は「コハク」というらしい。 彼のことをチンピラさんとか不良とか思っていたけど、彼もやっぱり武装神姫が好きなだけの人なのかも知れない。神姫の名前を呼ぶ時は優しそうに見える。 ……僕にとっては怖いままだけど。 「貴君よ。さっきはすまなかった、訂正する。……良い上官だな」 彼の肩に乗っている神姫がシオンに頭を下げてなぜか謝った。 なにを言われたら、あんなにシオンは怒るのだろうか。砂風が舞っていて、よく聞き取れなかったのが残念だ。 ワザと怒らす気はないのだけど、なんだか気になった。 「もう気にしてません。……考えてみたら、あなたは本心からそう言ってるとは思えませんでした。戦ってみて気付きました。……なんで螢斗さんの悪口を言ったのかはわかりませんでしたけど」 どうやら、あのコハクという神姫はバトル中僕に対して酷いことを言っていたみたいだ。僕はそんなことで一々怒らないけど、シオンはそれがスイッチになってしまったらしい。 さっきの君島さんとの会話でも思ったけど、僕は神姫マスターとして愛されているみたいだな、うん。 「……ふ、それではな。――タケル上官、もういいぞ」 「……っけ……朝から来るんじゃなかったぜ。あ~あ」 神姫はそれを聞くと顔に笑みを浮かべた。 彼の方はイラついた様子のまま、そう言うとゲームセンターから出て行った。 「ふむ。これで結果オーライになったではないか。私の目論みどおりだ」 「かなり僕が危ない所まで逝きかけたんですけど!? 初めにこういう事をするときは本人の承諾を取ってください! 絶対認めませんけど」 「スパルタだと言っただろう?」 「う、……はあ」 勝てることを君島さんは予期して、僕の立ち位置を危うくさせたという事か。 シオンが恐怖よりも強い感情で塗り固め、勝利できると。だからバトルの前に好きとか愛してるとか聞いたのか。 可能性の問題だと思うのだけど。 シオンがそんなにキレなかったかもしれないし、第一に不良の彼が朝にいたのも偶然だし、その友達が裏の仕事で人手を探していたのだって……。 ……うーん、わからない。 僕がそうやって考え込んでいると、隣にいた君島さんはおもむろに自分の携帯を気にし始めた。 どうやら、着信が掛かってきたみたいだ。 君島さんは携帯を耳に寄せ話し始めた。 「……あー……うむ……そうか、すぐに来いと?……ふむ、わかった……」 「どうやら内容から察するに、主殿は急用ができたみたいでござります。この後は、シオン殿の祝勝会でも、なんでもするといいと主殿はそう思ってござります」 「あ、リンレイ! 今までどこにいたの!?」 ミスズはまたまたその場に現れたリンレイにそう聞くが、それは無視された。 携帯に早口で話している君島さんは「すまない」と手でジェスチャーすると、サングラスを再び掛けてゲームセンターを早足で出て行ってしまった。 「あ、ちょっと!? もう!」 「あの神姫は生粋の“忍者”なんだから気にすんな。あれが普通なんだよ」 「神姫にとってあれは普通の芸当ではないですよ。……ウウ……必ずや私が突き止めて見せますぅ」 なんとしても納得がいかないミスズは半泣きになりながらも、リンレイを完全究明する決意をしたみたいだった。 「私は勝てたんですよね?」 胸ポケットに戻ったシオンが僕に聞く。まだ実感が湧いてないみたいだけど、 「うん、そうだね。……偉かったよ」 よしよしと頭を撫でる。まだこの先も、勝てていけるという保証はないけどこの喜びは噛み締めておこう。 「そうですよね……えへへ」 ■■■■ 「はー、スッゲー疲れた。こんなの二度とやらねぇー」 「そう言わない。自分はなかなか楽しかったよ」 ゲームセンターから出て来た彼は、裏通りに入ると格好を直しサングラスや首を重くしていた、いくつものネックレスを外し始めた。 それらをポケットに仕舞いこみ、首に手をやりさすっている。 彼の隠れていた目元は鋭く、サングラスをしていなくとも威圧感はあり、着崩してなくとも不良かと思われるほどのガラの悪さ。 身体の均整がとれていて、服の上からでも筋肉もほどよくついているのがわかる。 容姿“は”整っている。 だが、目元がマイナスになり、周りからは恐れられそうな風貌ではある。 「……っけ……あのやろう言いたい放題言いやがって」 「まあまあ」 頭の上に移動していた神姫が彼をなだめていた。 「そういや、かなりボコられてたんだが平気か?」 目線を上にやり、自分の神姫を不器用そうに心配している。表情は変わっていない。眼つきは鋭いままだ。 それでも、声だけは聞くと優しそうではある。 「心配ない、バーチャルだから。ものすごい痛みがある程度だし」 「腹ブチ抜かれてたんだから、それでも十分だっつうの。あんなになるまで“演技”しなくとも、よかっただろうが」 「もちろん、口調とかそこらの上官たちへの罵詈雑言は役としてのセリフだけど、バトル自体はあまり演技じゃなかったよ。言われた通り本気は出していないけど、結構力は入れていたんだ」 「ふーん。コハクが言うならそうなんだろうな。バトル恐怖症みたいだった、つう話はどこにいったんだか」 「戦えなかっただけで元から強くはあった。けど、CSCから来る怒りがパワーを底上げしたとかかな? 王道展開よろしくそういう展開にさせてみたら、予想外に強くなったみたい。まあ、アーティル型だし当然かな……よっこいしょっ」 ムルメルティア型の武装神姫「コハク」はバトルで起きたことをそう説明した。 コハクは軍帽とサングラスを外してから、彼の頭の上で腕を枕にして寝そべり始めた。 神姫一体が頭に乗っていたらネックレスよりも首に負担がかかると思うが、それが普段の彼たちの姿だ。 「せっかくの休みの日だっつうのになー」 そう愚痴ってから彼は歩き始めた。 その時、 ――ドスン。 「……おい」 突然彼の後ろから誰かが軽く抱きついてきた。 だが、彼も誰が抱きついてきたのかはわかっているのか、あまり驚いていない素振りをする。 もしも抱きつかれた衝撃で、彼が前のめりに動いていたら、頭の上にいるコハクは落ちてしまうからだ。 彼の踏ん張りが功を奏して、コハクはそのまま寝ころがっているままになった。 「すまなかった。……辛い役目を背負わせてしまったみたいだ」 抱きついてきたのは女性だった。背の高い彼と同じか少し低いくらいの背丈。 彼女は彼の後肩部に額を乗せて身体を密着させている。抱きついているから当然だ。それは彼が信頼できる相手だから出来る行為。 それに加え彼女はすまなそうに謝った。 「……っけ……あんなのは慣れてんだよ。心配すんな」 「うん? 心配はしていないぞ」 「ッ……だったら謝ってくんなっつうの!」 彼は腰から回されていた腕を振りほどき、抱きつかれた状態を解いた。 若干顔は赤くもある。抱きつかれて少し恥ずかしかったみたいだ。 彼は彼女の前へ身体を向き直させ対顔した。 「そう怒るな。あと顔が赤いぞ」 「っく、うっせぇ!」 「はっはっは、照れるな、照れるな」 黒のジャケットを着ていて長い黒髪を腰まで流している女性。 そこには君島 縁がいた。 「……いいのかよ、あいつらといなくて?」 「電話が来たフリをして出てきたのだよ」 「ふーん、なんで?」 「猛と話がしたくなってな。心配はしてはいなかったが、怒ってやいないかとな」 「だから、気にしてねぇっつった――」 「タケル上官、それは嘘でしょ。『言いたい放題いいやがって』と愚痴っていたのはどこの誰だったかな?」 “猛”と呼ばれている彼の頭上からコハクは笑いを含ませながらそう言った。 「ふむ。コハクもすまなかったな」 「いえいえ、自分はタケル上官の命令だから気にしてないよ」 「そうか……猛もすまんな」 再度謝ってくる君島。 猛はいつも尊大な態度をとっている君島がこのように素直に謝ってくるのに若干戸惑った。 だが、それはなんとか顔には出さないようにしている。 紛らわすために別の話題、戦ったあの少年と神姫について話し出す。 「バトル恐怖症の神姫を持つオーナーをマジでビビらせろとか。合図したらアドリブで神姫を怒らせて戦えとか、色々と俺たちを振り回しやがって。……ったく、縁はあのチビとかに随分肩入れしてんだな」 「うむ。かわいい後輩なのでな」 「そうでござりますな。長倉殿はご婦人に好かれそうな風貌でござりますし」 君島の肩にはいつも通りにリンレイが立っていた。 君島とは顔見知り、いやそれ以上の関係の猛にとっては、いなかったのにいつの間にかいるリンレイの瞬間出現には慣れているので、特に動じていない。 「…………っち」 それを聞くと胸の内からイラつきが登って来て、無意識に舌打ちをする猛。 「おや、私があの少年に世話を焼いてたら、そっちが妬き上がってしまったのかね? ニヤニヤ……」 彼の態度が変わったのを見てニヤつき始める君島。そして傍にいる神姫たちも便乗して猛に対してニヤつき始める。 「子どもでござりますな。フフ」 「タケル上官はそういうのすぐ顔に出るから。……ふふふ」 「ふん、言ってろ」 また顔に熱が上って来て顔に現れ始めたのに気付いた猛は、それを見られるのが恥ずかしかったので、ポケットに戻していたサングラスを掛けた。 「このサングラスとネックレスとかも、あれに必要だったのかよ?」 サングラスに手をやって顔を背けたまま聞く。 「うむ。変装なども大事なのだよ。観衆が多い中では猛の顔見知りがいないとは限らないのでな。日常生活で支障がでないようにとの配慮だ」 「……っけ、無駄な配慮だこと。俺のツラ知ってる誰かがこんな朝早くにいるとは思えねぇけどな。……俺たちがそんなにこの茶番に必要だったのかね」 「いや、猛たちがいなくとも9通りのやり方を考えてあったが」 「おいコラ!」 不満そうな声を張り上げる猛。 それを見た君島は、 「またそうやって怒鳴るな。ほれ……」 ギュッと。 近づくと今度は前から猛を抱きしめる。 君島は背中に細い腕を回して、穏やかに言う。 「私が猛に会いたかっただけ……と言ったら、どうする?」 「……こんな面倒なことしなくとも、普通に呼んだら来るっつうの。……ったくよ、縁はよくそうやって人をおちょくるよな……」 そう言って猛も君島の腰元にも手をやる。 ストレートな髪の毛を指で梳かしつつ、恥ずかしがらず今度は抱きしめ返す。 「美人なネーちゃんと言ってくれて嬉しかったぞ」 「ありゃ、演技の一環だ」 「そうか。……ふふ」 「笑ってんじゃねぇよ」 「ふ……オシャレしてきた甲斐があったというものだよ」 「いや、キメてこなくても……縁はいつも………そのよ……なんだ……」 「なんだね?」 「///~~。なんでもねぇ!」 顔はサングラスくらいでは赤さが隠しきれなくなっていた。 それからは黙ってしまう猛。 「やれやれ、真正のツンデレめ」 「は? ツンデレ? ……なんだそりゃ」 聞きなれない単語におもわずつぐんでいた口を開いて聞いてしまう。 「ふむ。今を生きているのにツンデレを知らんのか。いいか、ツンデレと言うのはだね、数十年前から続く世の中の人々に息づくものであって猛みたいにツンツンとデレデレが――」 朝から昼に変わろうという時刻。 誰も通らないような裏路地で、抱き合ったまま『ツンデレ』とは何かを説明している、聞いている構図がこの場には展開されていた。 「フフ、仲睦まじいでござりますな」 「ホントにねぇ」 それを生暖かい目で見る神姫たち。 自分たちの神姫が傍にいるのにもかかわらず、そういうのは気にしない二人だった。 彼と彼女は恋人同士なのだから。 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2632.html
「ごめんね。同じような人がいて、つい嬉しくなっちゃって」 「……はぁ、そうなんですか」 やっちゃったなー、これは。絶対変な人だと思われてるよ。僕も逆の立場だったらそう思うし、なんでこんな暴走したのかな、僕は。 「あはは、面白いマスターさんだね」 少女の肩の神姫がシオンに話しかけてくれている。あれは火器型の神姫だったかな。 「でも、お優しいです。とり乱したのも、お友達が来なくて寂しかったんでしょう」 シオンは本心でそう言ってくれてると思うけど、それがかえって痛かったりして。 「それじゃあ、改めて。僕は長倉 螢斗。この子はアーティル型のシオンです」 「よろしくお願いします」 「私は、その……」 「リミちん、ちゃんと自己紹介しなくちゃー。ほらほら」 「あ、うん。私は霧静 璃美香です。この子はゼルノグラード型のアリエ……です」 霧静さんは言い終わったら、顔を俯かせてしまった。 「アリエでーす、どうもー。すまんねぇー、この子ちょっと人見知りなもんで」 「いえいえ大丈夫ですよ。僕も少しそういうのありますし」 「本当かなー? がっついて、リミちんに話しかけてきた時はそうは見えなかったけどなー」 「あれはっ!……ただ、お友達になれそうだなーって思ったから勢いで」 「いや、あれは一歩間違えば、ナンパの部類だね。うん」 「ナンパって。それはないよ……」 なぜかこのアリエって神姫ものすごく馴れ馴れしい。オーナーの霧静さんもオロオロとことの成り行きを見守ってるだけだし。 「とりあえず!……ここにいるという事は神姫バトルが目的なんですし、バトルやってみませんか?」 「そう――」 「そだねー。ケートん、シーちゃんとも仲良くなれそうだし。交流を深めようではないか」 霧静さんが言う前に勝手に決めている。口は開いた状態で止まった。 そしてなぜか、あだ名みたいのも了承も取らず決められている。 シオンもなにも言わないし、僕も、それはいいのだけど。 ゼルノグラード型はみんなこうなのか? それともこのアリエだけがこういう性格なだけなのか。 「ハァ……すいません。この子、誰でもこんな感じで。すいません……」 霧静さんはものすごく申し訳なさそうに頭を下げている。見た感じ、いつもこうやって苦労させられているのだろう。 「霧静さん、ちょっといいかな?」 話を聞けば僕と同じ高校一年らしいので、敬語はいらないと言っていた(主にアリエが) 霧静さんにも一応は了承もとったし、これで少しは仲良くはなれただろう。 それにまず僕はシオンのことを話しておこうと思った。 「シオンはちょっとバトルがしにくいというか……えっと、なんて言えばいいのか」 「螢斗さん、私は大丈夫ですよ」 そう言うが、実際に僕はシオンのバトルを見てはいないけど……心配なのだ。 「シオンちゃんがどうしたんですか?」 「なになに、私と同じになんか訳有りかい」 私? アリエもなにかあるのだろうか。霧静さんを伺うと、 「アリエ。それは……」 霧静さんは何か言いづらそうに口をつぐんでいる。 「まあまあ、全てはバトルをしてみればわかることさね。はーい、それじゃあみんな、台について」 アリエはそう言うと霧静さんの肩から降り立って、一人で向こう側のブースに行ってしまった。 「まったく、アリエは。とりあえず、長倉……くん」 「……なにかな」 「まずはお互い、バトルさせてみて……その後色々話してみないかな?」 頭のリボンを指で触りながら、目線は横を向いている。話すのは得意そうに見えないけど、霧静さんはそう言ってくれる。 勇気を出して言ってくれてるようにも見える。 霧静さんもなにか抱えているようなそんな感じ。 なんて、さっき知り合えた人にこんなこと思っちゃいけないよね。 「そうだね。シオン、僕たちもバトルの準備しようか」 「はい! 頑張ります!」 ―――― バトルのステージは廃墟街になっている。 さびれた廃屋やビル。むき出しのコンクリート。ボコボコ穴の空いた道路にへし折れた信号機などなど。 リアルであったなら、不気味としか言えないな。 いまそこでシオンが廃ビル群の一角に潜んでいるのが画面からは見える。 僕はオーナーブースから、シオンに語りかける。 「怖くない?」 「……大丈夫です」 大丈夫と言うが、本当だろうか。 フェリス・ファングを両手で構え、その場には緊張感が漂っているように思える。 「火器型はその名の通り、銃器を使う戦闘が得意だと思う」 僕がいままで見てきた情報では、ゼルノグラードは火力のある武装を念頭に置いている武装神姫だというのは知っている。 だけど、 “訳有り”とはどういうことだろうか。 それがさっきから引っかかる。 ――いや、でも、そんなことは後回しにしよう。 まずはシオンのバトルを見ておかなくちゃ。 僕が冷静に指示できて、シオンもバトル恐怖症が起きなかったら、初バトルで勝利できるんだ。 よし、そうと決まれば。 「シオン、敵の気配は?」 「まだ確認は出来てません。まだ近くにいないのかと」 「それじゃ、危ないけど周りを索敵してみよう」 はい、とシオンは答えると、銃を構えたまま細い通路といえる路を進んでいく。 障害物が多いバトルなら、身を隠して攻撃する戦法が有利だろう。派手さはないけど、真っ向からやりあって勝ち目はあまりないと思う。 僕の経験も少ないし、シオンはちゃんと戦えるのか心配でもある。 でも、バトルに勝てれば自分の自信にも繋がるだろうし、バトルの拒否感も和らぐかもと思った。 「螢斗さん、あの、奥にいました」 「え、気付かれた?」 「いえ、その、なんと言いますか。アリエさん……くつろいでます」 「……なんで」 見ると、開けた道路にアリエが座っていた。崩れた、腰掛けるのにちょうどいい大きさのコンクリートに座り、のんびりとしている。 軍隊の兵士みたいにペイントされているアーマー。それに身を包んでいるアリエの姿があった。戦闘状態の筈なのだけど、暇そうである。 ……そんなに時間をかけたわけではないのに。 傍らには腹にパイプみたいな筋の入った奇妙な大剣がある。武器はそれだけしかない。銃みたいな武装は見当たらない。 「どうしますか?」 シオンが訪ねてくる。どうしようかな。あんな油断している姿をみせられるなんて、よほど余裕があるのか。 弱いと思われているのか。……実際そうなのかもしれないけど。 こっちが考えていると、アリエが動きをみせた。 立ちあがり、あくびをしてから背筋を伸ばしている。リラックスしているな、と思うけど、あれは相手の罠なんだろうか。 「バレバレだよー。出てきても、いいんじゃないー!?」 片手に大剣を持ち、声を張り上げている。 いる方向に声は向けてないけど、――なんて言った? アリエはシオンが近くにいるのがわかっている。 そんなミスはしていないと思ったけど。 「しょうがない。不意をつくのは止めて出よう。真っ向から挑むけど、いける?」 「いけ……ます」 その震えは恐怖なのか、武者ぶるいなのかはまだ僕にはわからないけど、 「いくよ」 戦いを楽しめるようになればわかるのかな。 シオンが路地に飛び出す。 スラスターを作動させて駆けながら、アリエに狙いを定めてフェリス・ファングを構える。 その後の動作は引き金を引くだけなのだけど。 ――引かない。 いや、シオンは引けないのか。 やっぱり、うまく戦えないのか。あっちはもうすでに臨戦態勢に入っている。 「シオン! 接近戦に変更して!」 なにもしないのなら、ただの動く的だ。 ここは相手の武装も考えて、接近戦に持ち込んだ方がマシだ。 武器で打撃を与えるなら誰だってできる。 フェリス・ファングをしまわせ、腰からナイフを取りださせる。 宮本さんから預かった武装には、近接用の武器がなかったから、淳平から神姫用のを譲ってもらった物だ。 シオンはそれを振りかぶって、勢いのままアリエに攻撃を加える。 「おりょ。なんか、勢いのわりに軽いね。銃でなんでか何もしなかったし」 ガンッ! と場に大きな音を響かせた。 大剣で攻撃を防ぎ、少し後ずさったアリエが疑問に思っているみたいに言う。 「そっちも、なんで、その大剣しか使わないんですか? チャンスだったと思いますけど」 「うーん、私も使いたいんだけどねー。使えない理由があるん……っだ!」 言葉を途中で切らし、腕に力を込めて、気合いの声を発する。アリエは詰め寄り大剣を振るう。 シオンはそれを危なげに避けていってるが。 「なんか焦ってるねー。それじゃあ戦えないよー……」 「くっ! わかってます!」 僕から見ても、確かに顔は焦っていて辛そうに見える。 「ほらほらー」 避けきれなくなってきたシオンは、アリエが振るった大剣にナイフの刃が当たった。 ナイフは明後日の方に飛んでいく。 「バトルが楽しくなさそうだねー。それがシーちゃんの悩みなんだねー。うんうん」 「……アリエさん、わかるんですか」 「私もさー。昔に色々あってさー火器型のクセに重・軽火器類が一切使えないんだ。笑えるけどホント。だから、私の武器はこれ一本!」 どうやらそれがアリエの“訳”らしい。 自慢げに大剣を掲げて見せる。――見るとやっぱり奇妙だ。 剣の腹に細いパイプの入ったような筋、根元部分には片刃の方にだけ同じ材質みたいので覆われている。 そして、握りの鍔の方にトリガーが付いてある。 「あれって、もしかしてガンブレード?」 今も続いているテレビゲームの超大作にアレに似た武器を使う主人公がいたはずだけど。今はもう18作目に突入しているらしいゲームだ。 僕はやったことはないが、学校の友達はよくゲームの話題をする人がいるので知っている。 「オリジナルの武装なんだけどねー。公式の場でもレギュレーション以内の優れ物。それじゃあ、これの仕掛けも見せとくかー。リミちん!」 『……うん』 筐体の向こうからは霧静さんの声が聞こえる。何かを送ったんだ。 アリエの手元には、手の平サイズ、厚さのあるカード状のような物がある。 それは、赤。イスカの大剣と同じような赤色だ。 「『エレメンティア・ヒート・カートリッジ』セット完了! いくよーん!」 そう高らかに楽しそうに声をあげる。 片刃の覆われた部分を下にスライドさせて、そこに持っていたカートリッジなるものを差し込んだ。 スライド部分を引き戻すと、その瞬間パイプに赤色が現れ始めた。 「よーっし。来たー!」 パイプに溶岩のようなのが先端まで行き渡ると、鋼鉄の大剣の刃も真っ赤になり始めた。 高熱を発しているみたいだが、実際に燃え盛っているような錯覚がする。刃の周りの空気がゆらゆらと揺れてきている気が。 「覚悟してね。いっくよー」 「シオン、何か危ない、後退して! ……シオン!?」 「……あ、あ……あ」 シオンの様子がおかしい。腰を抜かしている。 どうやらシオンの焦点が集まっているのは大剣みたいだけど。 ――もしかして、イスカの、お姉さんの大剣を思い出しているのか!? でも、反応が異常すぎる。 「あ~、えーと……そっちのマスター。ケートん、見えてる、聞こえてるー! サレンダーできるー!?」 大剣を、八双の構えに留まったままのアリエが、僕に叫ぶ。このまま、やっても無駄だと思ったのだろうか。 「……わかったよ」 あっちには聞こえていないだろうけど、受け応えはしておく。 アリエの優しさに感謝しつつ、僕はサレンダーのボタンを押した。 ―――― 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」 「……シオン」 私は謝り続ける。全ては虚勢だったんだ。 戦う前は確かに自信はあった。螢斗さんの為に戦えると思った。 でも、やっぱりダメだった。アリエさんの武器がお姉ちゃんの大剣に見えてしまった。その後はもう無理だった。 こんな私なんて、武装神姫じゃない。 こんな私なんて、ただの人形だ。 そして、螢斗さんの手が私の頭に移動してきて、 「大丈夫だよ。大丈夫」 「……あ、」 優しく指で頭を撫でられる。 不思議だ。 この人に撫でられると安心する。凛奈さんとお姉ちゃんの所で、まだ仲が良かった、時にも感じたことのない安心感。 なんで私は螢斗さんの為に戦えないのだろうか。 今はそれが悲しくて仕方なかった。 ―――― 謝るのは止まった。 でも、慰め続けているけど、なかなか泣き止んでくれない。 僕も多少はショックだったけど、バトルがうまくできないのはわかってはいたし。 過剰反応したのは、驚いたけど、しょうがないのかもしれない。 バトル恐怖症に加えて、凛奈さんとイスカの頃の記憶がトラウマにもなっているのかな。 なんとかこれを乗り越えさせないといけないのか。 僕にできるのか。 だけど、しなきゃシオンが幸せになれないんだ。 しないといけないんだ。 「ハロー、ケートん、シーちゃん」 アリエと霧静さんが近くに来てくれていた。 あんなシオンを見たらそれは心配になるだろうな。 「シオンちゃんは……大丈夫?」 「うん、まあ、大丈夫だよ」 多分と付け加える。 「バトルして、こっちのことも、わかってくれただろうけどさー……なんかそっちの方が深刻そうだねー」 「……確かに、そうみたい」 シオンとアリエを交互に見て、考え込む様子の霧静さん。 火器類の武装を使えないらしいアリエと戦うことができないシオンはどっちが辛いのだろうか。 このままバトルはしない方がいいのだろうか。 でも、それは――。 だめだ。やっぱり、うまくいかない。 「長倉くん。ともかく、私たちに話してみないかな。ほら、アリエもこんな神姫だけどなにかアドバイスできる……かも」 「こんなのとは酷くないですかい」 そう言われても、アリエは別段気にしてないように見える。 あんな風に気楽なのはもう割り切っているからなのかも。 「シオン、いいのかな。話しても」 「……はい……大丈夫……です」 なんとか涙を止めたシオンが頷いてくれた。 ――シオンのことをちゃんと話しておこう。 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1831.html
鋼の心 ~Eisen Herz~ インターミッション05:CSC(その2) 「う~す、おっはー」 陽気な挨拶と共に芹沢九十九が現れた。 「……また来た……」 「やほ」 「……やほ」 渋い顔をする京子の横で、真紀が無表情にその手を挙げる。 「随分普通に戻ってきたね、真紀ちゃん」 「おかげさまで……」 変人ではあるが、同時に恩人でもある。 京子も芹沢には強く出られなかった。 「……大学の教授なんでしょう? こんなに足繁く病院に来ている暇があるんですか?」 「いや~、それがね。最近はケモテックで顧問技術者をやっているから、授業なんか全部人任せ」 「……ダメな大人」 京子が溜息を吐く。 「そう言えば、この間真紀ちゃんにお願いされた物、手に入れてきたよ~」 「真紀が?」 「うん、MMSの基礎資料見せたら、『これが欲しい』って」 「……真紀に変なもの見せてるんじゃ無いでしょうね?」 どういう訳か、真紀は芹沢に懐いているようで、芹沢の影響を強く受けているようだった。 何時だったか、猫耳と犬耳について真剣に議論していたことがあるのを思い出し、京子は頭を抱える。 「……で、何を持ってきたの?」 「試作品のMMS素体と、結晶記憶体とか、後よく分からないものが数点じゃのぅ」 「そんなの持ち出して良いの? 企業秘密とかあるんでしょう?」 「いいのいいの。隠してこっそり研究するより、真紀ちゃんの柔軟な発想にインスピレーションを得ることの方が大切なのじゃよん」 「……」 「……後は、前の脳波データ……」 「あいよ、言われたとおりに処理して持ってきた。……でも、こんな重複しまくってるデータで何するの?」 「……適応放散」 「???」 真紀の言葉が理解できなかったのは芹沢も同じのようで、彼はその日そのまま帰った。 その後、芹沢の去った病室で、真紀が一心にMMSと繋いだパソコンを弄っているのが、強く印象に残っていた。 ◆ それは、神姫の産声。 ―――それが、神姫の産声。 ◆ 「始めまして、芹沢教授」 「……」 芹沢が息を呑む。 「私は、MMSオートマトン。名前は―――」 流麗な自己紹介をする“彼女”は、人間ではなかった。 「……そんな、事が……」 呆然と、それを見る芹沢。 芹沢の心境は心の欠けた真紀には分からない。 京子がそれを知るには、芹沢と同じだけの時を生きる必要があるだろう。 真紀の膝の上の“彼女”は、身長15cmのロボットだった。 それは、後に武装神姫と呼ばれる事になる最初の一人。 そして、5年後の天海において、『幽霊』の名で語られる最強の“神姫”だった。 ◆ 誰が悪い訳でもない。 そう言う意味では、彼女の敵は世界そのものだったのかもしれない。 ◆ 「……凄い結果だよ、身体性能も思考性能もこちらの想定を遥かに上回っている」 KemotechとFrontLineが共同で設立したMMSの開発室、その一室で芹沢が“彼女”のデータの解析結果を纏めていた。 「特に思考関連は凄いね。……チューリングに完全に対応できるAIなんて100年は出来ないと思っていたよ」 「……凄い?」 「凄いとも。いや、凄すぎるよ。コレはもう人間の道具じゃない。人類の新しいパートナーになるかもしれないよ」 「……パートナー?」 「うん、人間の新しい友達だね」 「……友達」 そう呟く真紀の顔は相変わらずの無表情のまま。 だがしかし、心なしか嬉しそうにも見え、京子は視線を外す。 (……芹沢さんが、真紀を……) 妹の心を解き放って行くのが自分ではない事に、京子は少なからず疎外感を覚えていた。 「……あの、芹沢さん。これは?」 彷徨わせていた視界の隅に、一振りの剣を見つけ、京子はそれを芹沢に問う。 なぜならばそれは、人の為の剣ではなく、明らかにMMSの為の剣であったからだ。 「ああ、それか。フロントラインの方からね、MMSに戦闘をさせる企画が来て、その試作品だよ」 「……」 よく見れば剣の他にも、銃などの武器が幾つも置かれている。 「……?」 その一つ、一番大きな塊を手にしてみるが、何なのかよく分からない。 「……それ、レーザー砲なんだってさ」 呆れたように溜息を吐く芹沢。 「……最も、出力もたいした事無い癖に大きすぎて、到底使い物にはならないみたいだけどね……」 「……」 確かに、触媒のルビーレンズもサイズと想定出力の相違を調整されておらず、放電管の造りも粗雑過ぎる。 内部の反射鏡も無駄に大きな構造で、重量と収納の無駄遣いも良い所だ。 これでは大した威力も射程も無いレーザー数発の射撃で、根本から破損する事は誰の目にも明らかだろう。 「…………ん~」 「興味ある? なんならそれ、上げても良いよ」 「……いいの?」 「どうせサンプルとしてもらったものだし、肝心のMMSがこんな性能を出したんだ。今までの想定で作った武器なんてもうゴミだよ」 「……」 頭の中で青地図ができる。 (触媒の構造を多重構造にして、反射鏡の透過率を変更。あとは屈折率の最大効率を計算しなおして……) 京子の頭の中でレーザー砲を称した鉄塊が、大きくその姿を変えてゆく。 より軽く、より強く。 それが、京子にしか出来ないことなのだと、彼女自身が知るのはまだまだ先の事。 ◆ そして、それは彼女達の運命を変えてゆく……。 インターミッション06:武装神姫につづく 鋼の心 ~Eisen Herz~へ戻る 作中で触れているチューリングテストについて少々捕捉。 チューリングテストとはチューリング博士によって提唱されたAIに対するテストです。 チャットなどでAIに対して質問をし、その回答を人間(テスト官)が吟味し、AIか人間かを判断するというもの。 テスト官は自由に質問を行ってよく、AIは可能な限り人間に近い返答をすると言うもの。 この際、AIはわざと時間をかける、間違える、などをして人間を装うことも許される。 幾つか反論も出たが、作中の(そして皆様の想像する)神姫はこの反論すら許さぬほどに完璧なAIを備えている。 ここまで来るともう、相手がAIか人かを判断する意味は無いと思う。 ◆ AC4fA、今もプレイ中。 アセンしているだけで数時間潰れる。 でも幸せ。 相変わらずビジュアル重視の重AC。 ARGYROS/H EKHAZAR-CORE SOLDNER-G8A SOLDNER-G8L FLUORITE EB-R500 MUSSELSHELL OGOTO MUSSELSHELL(肩) はい、お分かりですね。 性能なんて何処か遠くの空の彼方です。 でもそれで良い。 夢はコイツで全てのハードミッションをSクリア。 ……無理か? ALCでした。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/654.html
そのいち「前夜」 僕はモニターから目を離すと、そのままPCの傍らで座っている体長15㎝ほどの『少女』に視線を移す。 僕の視線に気が付いた『彼女』は、僕の目を確認すると「にひゃー」と満面の笑みを浮かべた。 「もう少しだけ、我慢してくれるかな?」 「全然平気なーのでーすよぉ♪」 彼女――MMS TYPE CAT 機体名『猫爪』、固体名『ティキ』――は歌うように答えた。 その言葉に僕は少しだけ笑いながらうなずくと、眼鏡を上げて再びモニターに目を移す。 もう一息。 僕は緑色の装丁をしている炭酸飲料をあおるように口に流し込んだ。 これは僕がティキと初めて会った、あの数日間の話。ほんのわずかだけ前の事。 その頃の僕は、オタク気質のクセにいまどきの高校生のフリをしていたから、まるで武装神姫については知識が無かった。……もちろん興味はあったけど、やっぱり高校生としての見栄もあったからチェックなんてしてなかった。 個人的な不幸と、身内の不幸。そしてチョットばかりの幸運が僕とティキを引き合わせたんだ。 順を追って説明すれば、ある日何の前触れもなく僕はその時付き合っていた彼女に振られた。彼女から告白してきたというのに、二股を掛けられていたのだ。……僕等ぐらいの年齢じゃ、それはものすごい不幸だと信じてしまえる。 で、そのショックから立ち直る時間も与えられず、僕は親父を亡くした。さして仲が良いってワケでもなかったけど、彼女に振られた事なんて消し飛ぶくらいには頭が空っぽにはなれた。 幸い、母方の祖父が僕らを援助してくれると言ったので、僕と母は路頭に迷う事無く済んだけども。 葬儀も終わりしばらく日がたった後、親父の私物の整理をするため、僕は初めて親父の書斎に入った。 その時発見したのがティキだった。 親父の書斎で机の上のベッドみたいな機具――後で分かった事だけどクレイドル――に横たわり、微動だにしない15cm弱の大きさの人形。 正直に告白します。最初見たとき父に対して怒りに似た感情を持ちました。40後半になろうというおっさんが、家族にも内緒でナニを後生大事に持ってたんだ! と。 だから、というわけでも無いけど、僕は人形ごとそのベッドを払いのけてしまった。 かたん、という乾いた音と、がしゃり、というぶつかり合う音。 「痛っ」 そして声。 「…………は?」 思いもよらぬ言葉。 「くぅぅぅぅ~~~~っっっ…… 旦那さ~ん、痛いのですよぉ~」 そこには―― 頭をさすって涙目になって……動いている、さっきの人形があった。 僕はその人形を見て、思考が真っ白になった。 そんな僕をその人形は『発見』したらしく、じっと僕の目を見る。 「……………………」 「……………………」 「……………………」 「……えっと、どなたなのですかぁ?」 なおもポカンとしている僕にその人形は、人差し指を添えて首を傾げて問いかけた。 お世辞にも行儀良く、とは言えない様でその人形――神姫――は僕の目の前で座っている。 この娘が『武装神姫』である事に気がついたのは、お互いに名を名乗ってからだった。 「なるほどですよぉ~。つまり雪那さんは旦那さんのお子さんなのですねぇ♪」 何かを納得してる風だけど、僕はそんな余裕はなかった。 いくら僕が無知とは言え、まるで知識がないわけじゃない。 少なくとも「所有者を無くした神姫は機能を停止させる」くらいの事は知っていた。『武装神姫』じゃなくても、『神姫』そのものはすでに世の中に浸透しつつあるのだから。 だからこそ、僕は彼女――ティキ――の話を聞きながらも、彼女の説明書を読み漁る。 大事な事は黙ったままで。 「雪那さん、聞いてるですかぁ?」 「うわっ」 説明書と僕との間に、彼女が顔を割り込ませる。 そうして僕が驚いたのを確認すると、満面の笑顔を浮かべた。 「だから、ティキと雪那さんは兄妹みたいですねぇ♪」 なにが「だから」で、どうしてそんな結論が導き出されたのかわからないけど……こんな笑顔を見ちゃうと、親父が死んだなんて言えないよぉ。 そうやって考えると神姫の機能停止って、神姫に対して負荷を与えない為の適切な処置なのかもしれないけど、一体そこの所をメーカー側はどう捕らえているのか? って、今はそんな事に思いを馳せている場合じゃなく。 「雪那さんはなんだか難しい顔してるですねぇ?」 ……誰のせいでこんな顔していると思っているのか。 そんなこんなで二・三日もたった頃、メーカーに問い合わせというごくごく基本的な手段にやっと気がついた僕は、サービスセンターに電話をした。 その間僕は、ティキに親父が死んだ事も告げられず、そしてお袋にティキの事を言う気にもなれず、一人で悶々としていた。 その気分を打開するはずの電話で、僕はもっと悩むことになる。 『神姫にオーナーが亡くなった事を告げれば、自分から機能を停止するはずです。それが嫌なのでしたら神姫の設定をリセットするしかありません』 そんな事を聞きたかった訳ではなく。 確かにそれが一番の方法なのは解っていた。けれど僕は、AIにしろなんにしろ、心を持つ『神姫』という存在の側に立った答えを聞きたかったんだ。 メーカー側のその『回答』に軽く失望した僕は、またティキがいる親父の書斎へと向かう。 一体どうしたら良いのか。僕の中にまだ答えは無い。 「雪那さん、いらっしゃいなのですよぉ♪」 相変わらずティキはこの部屋を親父と自分のものとして認識いていた。 「……元気?」 「ティキは元気なのですよぉ♪ 雪那さんも元気ですかぁ?」 この突き抜けた笑顔に、僕はぎこちない笑顔で答える。 「それにしても、旦那さんは今日も帰ってこないのですかぁ?」 少し拗ねた様な口調で首を傾げた。 「う……ん、そうだね。出張なら、ティキも連れて行けば良かったのに……ね」 その時の僕には真実を告げる事なんてやっぱりできなかった。 それから一週間も過ぎた頃、さすがにティキも親父の不在に対して疑問を感じたらしい。 その日部屋に入った僕を出迎えたのは、涙目になったティキだった。 「……雪那さん……ティキは、ティキは旦那さんに捨てられたのですかぁ?」 その言葉に僕は絶句。 「だから、……だから旦那さんは、ティキの所に帰って来ないのですよねぇ?」 「ち……違うよ!」 僕の声は存外に大きかった。 「あんなのでも、ティキにとっては良いオーナーだったんだろ? だったら何も言わずにティキを捨てたりするもんか! だから……だから……」 「なら、なんで何時までも帰って来ないのですかぁ?」 「そ……それは」 何時もの様な都合の良いウソがとっさに出てこない。 「だって、だって……」 そういってうずくまるティキは、そこで更に何かに至った。 「あ……? ああああぁぁぁぁ――――!!」 「ち……違う! そうじゃない!!」 「――雪那さん…… 旦那さんは」 「そんなんじゃない!!」 「死 ん だ ん で す か ?」 ティキのその顔は作り物とは思えないくらいに悲壮で、それなのに生きているものとは思えないほどにゾッとするものだった。 あぁ、ここまでだ。 もう僕は自分にもこの娘にもウソをつけない。 僕は天井を仰ぎ、親父が死んでから初めて涙を零した。 「親父は……親父は仕事帰りに事故に巻き込まれて――」 ティキの顔はますます無表情になり―― 「死んだよ」 そして目を見開いた。 僕はティキから眼を逸らす。 僕のその言葉はおそらくティキを『殺す』。でも、捨てられたなんて誤解したまま心が消えてしまうより、本当の事を伝えたかった。 こんな形で伝えたかった訳じゃないけれど。 扉に寄りかかり、そこに崩れて、俯いて泣いた。 親父の死を自らの言葉で認識し、理解し泣いた。 そして、ティキを殺してしまった事実に泣いた。 「よし、出来たっと」 僕はそういって背もたれに体を預けた。炭酸飲料の缶の中身は、すっかり空になっている。 「マスタ、お疲れ様なのですよぉ♪」 そう言うと、ティキは僕に笑顔を見せる。そっちこそお疲れ、と言いながら、僕はティキとPCを繋いだコードをはずした。 「ふにゅうぅ……っぅうんん……ぅんっ」 ティキが体を震わす。 「……大丈夫?」 「っふぁ……大丈夫……ですぅ☆」 ティキはいつもコードを外す度に、今みたいなチョット鼻にかかったような声をあげて体を小刻みに震わせる。 ……不具合か何かなのかな? その度に僕は不安を感じるのだが、当のティキが「何でも無いったら何でも無いのですよぉ!」と顔を赤くしてまで強く言うので、僕としてはそれを信じるしかない。 「さて……と、これで今度のデビュー戦の準備が整ったね」 「ハイですぅ♪」 デビュー戦。と言っても公式戦に出るわけではなく、あくまで草試合。付け焼刃で知識を集めた僕は、それでもようやくバトルへ参加する事が出来るようになった。 親父もそっち方面に興味があったらしいが、時間が無いくせに凝り性なため、ついぞバトルに参加する事は無かったそうだ。 「取りあえず試運転と行こうか。装備付けてみよう」 そういって僕は基本のパーツを付けていく。基本、と言っても猫爪の基本武装ではない。 親父は他の神姫の素体は一切保有していなかったくせに、何故か第二段までの各々の基本武装および、TYPE RABBITの武装だけをコンプリートしていた。……ヴァッフェバニーって、コアパーツ付いてなかったっけ? とにかくそんな訳だから、僕はティキの特性と、自分の好みとで好きにパーツを選べると言う、他のオーナーから恨まれても文句言えない贅沢を味わっている。 そんな中から僕が選んだのは―― 鉄耳装・改 buAN FL012 胸部アーマー exOPT KT36C1 キャットテイル exAM FL013 01スパイクアーマー ×2 exOPT VLBNY1 リフトガード/L・R exOPT VLBNY1 脚部アーマー/R exOPT VLBNY1 収納ポケット/L・R WFブーツ・タイプ・グレイグ/L・R リアウイング AAU7 で、リアウイングにオリジナルの情報集積ユニットを搭載し、有線で鉄耳装・改と繋げている。空いている左大腿部には、自作の鞘を装備させておいた。 更に武装として、 モデルPHC ハンドガン・ヴズルイフ 親父のコレクションにあった西洋剣 GEモデル LC3レーザーライフル ちなみにLC3レーザーライフルはお手製接続パーツによりリアウイングに装着した。 「で、この剣は一体なんなんだ?」 「風の魔装機神の剣ですよぉ♪」 「???」 「でぃすかったーって言うのですよぉ♪」 「あー……いや、知らない、悪かった…… で、どう? 着け心地悪いところ無い?」 「大丈夫なのですよぉ♪ と言うよりむしろ快適無敵なのですぅ♪」 そういうとティキは早速、広いとはいえない部屋の中を飛び回る。 「マスタ、ティキはこの装備がとっても気に入ったのですよぉ♪」 「そいつは良かった。ティキが気に入ってくれたんだったら僕も嬉しいよ」 本当に楽しそうに飛び回るティキを見て、僕もなんだか幸せな気分になってくる。 しばらく飛んでいると、ティキは僕の頭の上に降り、そしてそのままうつ伏せになる。 「さすがに少し疲れたですぅ☆」 「あはははは、まだ慣れていないからね。明日から少しずつ慣れていこうな」 「ハイですぅ♪」 僕はティキの元気のいい返事を聞くと、頭にティキを乗せたまま電気を消し、親父の書斎だった部屋を後にした。 「明日天気が良かったら外で飛んで見よう」 「本当ですかぁ☆ うっれしいのですよぉ♪」 僕らはまだ本当の意味で過去の思い出から巣立ってはいないのだろう。でも、それでも僕は前を見る。 え? 結局この『ティキ』は親父の『ティキ』と同じなのかって? もちろんそれは…… 終える / つづく!
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2602.html
第3部 「竜の嘶き」 「ドラゴン-5」 2041年10月31日 9:30 天王寺公園神姫センター 第3フィールド森林ステージ ドドッム!!ズズズウウン!! 林のスキマから青チームの丑型がカノン砲でA飛行場に向けて散発的に砲撃してくる。 シャル「今だ!行くぞ!!」 だっとシャルたちがA飛行場の片隅に置いてある自分の武装に駆け寄る。武装は昨夜の戦艦型の砲撃によって土砂が被り半分埋まっていた。 建機型が数台、アームで必死に弾薬や武装を掘り起こすのを手伝う。 シャル「早く武装を掘り起こせ!!迎撃できないぞ!!」 リインがシャルに駆け寄る。 リイン「戦乙女型の連中が出ますよ!」 シャル「ふん、対岸の青チームの爆撃隊を仕留めるつもりだな」 ライラ「俺たちも出撃しよう!」 ライラが滑走路に走るが、滑走路は戦艦型の艦砲射撃で穴だらけ、あちこちに砲撃を喰らって炎上している神姫の残骸がごろごろ転がっていた。 シャルがライラの肩を引っ掴む。 シャル「主滑走路はダメだ!!予備を使うぞ!みんなついて来い!」 砂を取っ払ってエンジンをスタートさせるシャル。 キュキュキュ・・・ なかなか動かないエンジンにシャルが苛立つ。 シャル「さっさと動けェ!!動けってんだよォ!!このポンコツが!!」 シャルがガンと足で武装パーツを蹴り上げる。 ガキン!!ドルンドルウウングオオオオオオオオオン!! ガタガタと低い重低音を鳴らしながらエンジンが唸る。 セシル「ヨーシ、かかった!!いい娘だぜ!」 リイン「こっちも行けます!」 ライラ「いつでもOKだぜ!」 シャル「マスター!!出撃許可を!」 マスターの伊藤がすばやく指示を出す。 伊藤「申告はいい!!出撃しろ!」 グオオオオオオオオオオオオン!!! 唸り声を上げながら出撃するドラッケンたち。 チーム名「ドラケン戦闘爆撃隊」 □戦闘爆撃機型MMS「シャル」 Sクラス □戦闘爆撃機型MMS「ライラ」 Aクラス □戦闘爆撃機型MMS「セシル」 Aクラス オーナー名「伊藤 和正」♂ 27歳 職業 工場設備関係メーカー営業員 □戦闘爆撃機型MMS「リイン」 Aクラス オーナー名「伊上 直人」♂ 26歳 職業 総合卸商社営業員 滑走路にいる味方の神姫たちがバイザーや帽子、兜を振りながら歓声を上げる。 「HERE WE GO!!」 ズズウン・・・ドドン・・・ダッダダッダダダッダン!! A飛行場からすぐ近くのフィールドでは、敵味方入り乱れての激しい戦闘が行なわれていた。 騎士型「突撃ィー全神姫神姫突撃だー!!」 騎士型が剣を振り回し突撃の号令をかける。 ウオオオオオオオオオオオオオオオ!! 唸り声を上げて、突撃する青チームの武装神姫の集団。 剣や槍を構えた神姫が大地を蹴って敵味方の屍を踏み越え突撃してくる。 赤チームの陣地は、必死にライフルや機関銃で応戦する。 火器型「ち、畜生!く、くるなァくるなァ!!」 砲台型のカノン砲を喰らって上半身が吹き飛ぶ箸型、火器型の機関砲弾を浴び、穴だらけになる侍型・・・それでも青チームの突撃は止まらない。 ヤマネコ型「こいつら死ぬのが怖くないのか!?」 虎型「ひ、ひいいい!!」 騎士型「抜刀ッーーーーーーーーー!!!」 シャリンシャッリイイン!!シャリィーーーン 騎士型の号令で一斉に抜刀し、猛然と赤チームの陣地に襲いかかる数十体の青チーム突撃部隊。 騎士型「歓呼3声――――――――ウラッーーーーーーーー!!」 ウラッーーーーーーーウラァーーーーーーーーウッラァーーーーーーーーーー 砲台型「う、うわあああああ!!」 ばっと宙に飛び散るオイル、そして土煙。 あっという間に乱戦状態になり、赤チームの陣地はめちゃくちゃに蹂躙される。剣士型が火器型神姫の首を跳ね飛ばし、逃げ惑う虎型神姫のしっぽをつかみ槍を突き立てる侍型、戦車型の頭を勝ち割る紅の武装に身を包んだ戦乙女型、何度も何度も銃剣で息絶えた花型に突き立てるコマンド型・・・叫び声と金属の擦れ合う音、怒声、銃声が入り混じる。 それは何度も続く戦場の音であった。 ワアアアアアアアアアアアアアアアアアア・・・・ 伊藤「・・・全機、爆弾を投下しろ」 伊藤は冷たい眼で筐体に移る戦場を一瞥するとシャルたちに指示を下す。 シャル「了解、全機につぐ!!急降下爆撃で爆撃しろ!!目標は67番丘!!」 キラッ・・・ 騎士型「!?」 騎士型が太陽の中を見つめる。 グオオオオオオオオオオオオオオオオン!!! エンジンを唸らせながら重武装のドラッケンが4機、逆落としのように急降下し突っ込んでくるのが騎士型の翡翠のような目に映る。 騎士型「ド、ドラッケン戦闘爆撃機!?」 ヤマネコ型「撃て撃ちまくれェ!!近寄らせるなァ!!」 ズンズズズン!!ドドドン!! 十字架型のキャノン砲を構えたシスター型やレールキャノンを構えたヤマネコ型が激しい対空砲火をシャルたちに浴びせる。 バキン!!カキンバンバッバン!!コーーーン! ビシバシと装甲板が吹き飛ぶが、重装甲のドラッケンの急降下爆撃を止めるには少々火力不足だった。 シャル「Drop bombs on an enemy position!!」 キュウウウウウウウウウウウウン・・・ シャルたちは一斉に爆弾を侵攻してきた青チームの神姫たちの集団のど真ん中に投下する。 ズドッドオオオオオオン!!バゴオオオオオオオオォーーーーーーン!! すさまじい爆煙と真っ赤な炎が舞い上がり、一気に数十体の武装神姫が木っ端微塵になって吹き飛ぶ。 ライラ「イッヤッハー!!」 リイン「命中!命中!!」 セシル「伊達に俺たちゃ、『竜』の名前はついてねーんだぜェ!!!!」 シャル「67番丘の爆撃完了!!これより帰還する!」 伊藤「A飛行場は今、テンペスタの機銃掃射を受けている!!気をつけろ!!」 伊藤は筐体の画面を操作して現在の戦況をシャルたちに伝える。 戦況はあまり思わしくないようだ。 必死で赤チームは青チームの猛攻撃を凌いでいるが、昨夜の戦艦型神姫艦隊の艦砲射撃の影響で赤チームの稼動率は下がっていた。 シャル「ここが一番の勝負所だ!!今頃、飛行場の上空ではこの間のテンペスタの連中が俺たちが帰ってくるのをてぐすね引いて待ち構えているだろう」 ライラ「友軍の戦乙女の連中は、昨夜の戦艦型神姫の艦砲射撃で陣地ごと吹き飛んじまったしな・・・」 セシル「残った連中でも、テンペスタの相手は厳しいだろう」 リイン「シャル、いい考えがある」 シャル「!?」 リインがシャルのそばに寄る。 リイン「いつかの戦乙女の手を使いましょう!『囮』を出すんです」 シャル「囮だと?」 リイン「ロッテ戦術です」 ロッテ戦術(ロッテせんじゅつ) ロッテは、航空戦における戦闘機の基本的な戦術・編隊構成で、2機で一つの編隊を組む手法。 ロッテはもともと旧ドイツ空軍が確立させた航空戦術であり、その後各国の軍隊でも採用されている。 戦闘機2機が相互に補い合い、ハンデとなる単機戦闘を避け、相互支援することによって敵機を撃墜・撃破することを目的とし、元は格闘戦において優位に立つために編み出された戦術である。 2機1組で分隊を組み、長機(リーダー)が攻撃・追撃を行っている間、もう1機の僚機(ウィングマン)が上空ないし長機の後方に食らい付き援護・哨戒を行う。この際、攻撃を行う長機のパイロットは後方に留意する必要がないため、攻撃に集中する事ができる。 なお戦法は現在においても尚、効率の良い戦術・隊形とされ、今日では世界中の空軍が採用している。 だが、この戦法は高いチームワークが必要となり、囮となる方が高い技量を有し危険度が増す。 シャル「だが、それでは囮となる・・・オマエが・・・」 リイン「シャル!!俺を信じてくれ!!!やれる!このチームなら!!やるなら今だ」 ライラもセシルもじっとシャルの目を見てうなずく。 シャル「よおし・・・リイン、その手を使おう!!ただし、俺も囮になる」 シャルたちは巡航モードに可変しスピードを上げてA飛行場にまっすぐ飛ぶ。 シャル「ライラ、セシルはリインと俺を追うテンペスタを狙って撃て!!」 ライラ「任せてください!!」 セシル「やってやる!!」 A飛行場に近づくと、数十機のテンペスタが飛行場に機銃掃射を仕掛け、戦乙女型のアイネスの小隊と空戦を行なっている。 シャル「行くぞ!!ヤロウ共っ!!!ついて来い!!派手におっぱじめるぞ!!!!!」 グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!! エンジンをフルスロットルで振り絞り、高高度から一気にダイブしてテンペスタに襲いかかるシャルたち。 その姿はまさしく、獰猛な竜そのものだった。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>「ドラゴン-6」 前に戻る>「ドラゴン-4」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1199.html
水辺に泳ぐ女神達──あるいは入水(前半) 2037年の夏もピークを過ぎ、秋の気配が密かに忍び寄っている。 私・槇野晶も稼ぎ時に働き、また“妹”たる神姫達と共に様々な所へ 物見遊山に出かけたが……思えば“夏らしい事”は余りしていない。 そこで、私は彼女らにこんな提案をしてみる事としたのだな。有無。 「なぁ、皆……八月最後の定休日、ここは一つ泳ぎにでも行かぬか?」 「え?!い、いいんですかマイスター?でも、水着なんてあります?」 「案ずるな、ちゃんと作っておいた。だからこそ、今日しかないのだ」 「……塾の宿題も終わったし、それならボクらも安心して行けるかな」 「でも……マイスター、本当に……ほんっとうに“大丈夫”ですの?」 ロッテが、何度も念を押す様に私を見上げて問い掛ける……そう言えば あの事を知っているのは彼女だけだったか。心配するのも無理はない。 だがそれ故に連れていってやらないというのは、“妹”達が可哀想だ。 「む……正直、カナヅチが治ったとは言い難い。苦手は克服したがな」 「ふぇ?ま、マイスターって泳げないんですか?そんな印象は~……」 「……泳ぎが下手なだけであって、入水即溺死等という事はないぞ?」 「それでも意外なんだよ。インドア派でも結構動くもん、マイスター」 「歩くのはいい、走るのも蹴るのもな。だが……イマイチ泳ぎはなぁ」 準備をしつつも私は鼻を掻く。何故か水が苦手でな、理由は分からん。 ロッテと暮らし始めたばかりの頃は本当に酷くて、文字通り溺れたな。 今はマシだが、まだまだ自在に泳げるとは言い難い。浮き輪は必須だ。 と言う訳で愛用の浮き輪を、空気を抜いた状態でバッグへと押し込む。 ……待てそこ、笑うな!?猫柄の浮き輪位、別に構わぬだろうがッ!! 「なら、アルマお姉ちゃんは……クララちゃん、お願いしますの♪」 「わかったんだよ。これもマイスターの為だもんね……大丈夫かな」 「いざとなったら、あたしが動きますから……って、マイスター?」 「……いや、さっきから何を相談している?皆、準備は出来たのか」 貴様らを咎める間、ロッテ達は何事か密談をしていた様だ。気になるな。 まあ、深く追求してもしょうがない。皆が水着と足ヒレ等を用意したのを 見届け、私も替えの服やアンダー等をバッグに詰め込んで、ビルを出る。 照り付ける様な“クレイジーな”暑さを堪えつつも、ノースリーブの私は 両肩と胸ポケットに神姫を搭載するお決まりのスタイルで、電車に入る。 「ふぅ……ミストでワンクッション置いても、この寒暖差は堪えるな」 「相変わらず、車両の冷房は殺人的に効いてるんだよ……電気の無駄」 「MMSのあたし達は何ともないですけど、マイスター大丈夫です?」 「む?少々冷えるな。ビルの居住区も結構エアコンは効かせてあるが」 「でも個人的な好みに配慮がない分、ここの方が数段寒いですの……」 ぼやいてもしょうがないとは理解しているが、流石にこれは肌に悪い。 極力風の当たらない席に座り、急ぎ海浜区域のレジャー施設を目指す。 夏休みの盛を過ぎた今ならば、都心と言えども混雑は若干緩和される。 案の定、たどり着いたプールの人混みはテレビで見る程多くなかった。 「さて、着いたぞ皆。まず入場券を買ってと……大人一人頼めるか」 「え、え?あのお嬢ちゃん?……お父さんかお母さん、いないの?」 「馬鹿者ッ!この通り、私は子供料金ではないぞ!……それからだ」 「す、すみませんすみませんっ!……え、これは武装神姫、です?」 最初から子供扱いする不埒な受付嬢を喝破し、“妹”達を台へ降ろす。 彼女らの扱いがどうなっているのか、今回はリサーチしなかったのだ。 という訳で、彼女ら自身の口から自分達の処遇について聞いてもらう。 「はいですの♪わたし達は料金とか必要ですの、受付のお姉さん?」 「え?え、えーと……持ち込みはいいですけど、水は大丈夫です?」 「はいッ。水中で胸を開いたりしなければ、なんともありません!」 「そう言う物なんですね……わ、分かりました。でも壊れても……」 「弁償はしない、だね?それ位はボクらも分かってるもん、大丈夫」 受付の若い娘は、神姫を知っている様だった。説明の手間が省けたな。 そう言う訳できちんと私の入場料を払い、四人で女子更衣室へと赴く。 ……こら、此処からは見るなッ!!女子の着替えを覗くな貴様ぁッ!? 「マイスターの水着はセパレートタイプなんですの?ってこれは~……」 「有無、お前達と同じデザイン……というより、この水着を元にだな?」 「あたし達の水着を作ったんですね?柄や色は違ってますけど……ふふ」 「皆、お揃いなんだよ……パレオまであるもん、マイスターに感謝だよ」 ──────ちょっと遅い夏、精一杯堪能するよっ。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2512.html
車輪の姫君_登場人物、用語紹介 (随時更新) 神奈 流(カンナ ナガレ) キサヤのマスター、現在都内の3流高校、戸叶三高に通う女子高生。 割とサボることの多い不良学生、しかし成績は優秀で教師も手を焼く問題児。 人づきあいも良くスタイルも好い事から男女問わずそれなりに交友関係が広い。 しかしその素顔は百合もノーマルも(見るなら)BLも好物の変態。 しかもロリショタコン。 工学系の知識や設計が得意で神姫部で神姫の修理や カスタムパーツ製作を担当し(つつ部員の神姫にセクハラし)ていたが ひょんなことから棄てられていたアーク型神姫を修理しマスターとなる。 バトルはライド式派。 キサヤ ハイスピードタイプのアーク型神姫。神奈の相棒。 フォーマットされ粗大ごみに棄てられていた処を神奈に拾われる 秘密が多い神奈に比べまっすぐで嘘のつけない性格。 フォーマットされ、神奈独自の改造を受けても依然捨てられた記憶がどこかに残っているのか ものを棄てると言う事に対して敏感。 蘆田 阿頼耶(アシタ アラヤ) 神奈の所属する戸三神姫部の部長。 何でも気合と根性で解決する一昔前の美学を持った人物。 しかし女性関係に関しては苦手分野で神奈にもよくからかわれている。 神姫に手を出したのもその弱点を克服するためだったのだが なんだかんだで神姫バトルにハマり現在に至る。 元サッカー部キャプテンでありそれ故か司令塔として神姫に適切な指示を飛ばす能力がある。 そんな彼のバトルは当然指示式派。 フィラカス 蘆田の神姫、犬型ハウリンタイプ。 ハウリン特有の防御力とスピードを活かした装備で防御や足止め主体の戦法をとる。 防御主体の戦闘スタイルである為修理に出される事が多く、神奈の主な被害者は彼女である。 蘆田への忠誠も愛もかなりのものだが、いかんせん蘆田は朴念仁である。 キニゴス 蘆田の神姫、猫型マオチャオタイプ。 可愛い顔の裏に大胆な行動力と戦闘で覚醒したSっ気を持つ猫娘。 フィラカスとは対象的にスピードとパワーで一気に攻める。 タッグバトルでは敵の片やをフィラカスが止め、片やをキニゴスが攻める。 土繰 二郎(ツチクリ ジロウ) 隣町の一流高に通う優等生。 神姫バトルでも無類の強さを誇り学生杯でも毎年優勝をキープしている強豪チームの長。 しかしそれらを鼻にかける事無く振舞う事からファンも多い超人気神姫マスター。 アサギ 土繰の神姫、天使型アーンヴァルタイプ。 土繰自ら改造を施したパーツで全身を固めており、本体の実力もかなりのもの。 非常に寡黙でインタビューにも笑顔しか向ける事が無い。 専門用語 神姫バトル 言わずと知れた武装神姫達の飛び交う戦いの場。 比較的新しく取り入れられたライドシステムと、マスターの指示によって神姫単体で戦う従来の主従形式は今でも残り 2041年では同じ戦場においてもマスターのスタイルによってライド式と指示式の二つが競い合っている。 また当然ながら指示式専用の、ライド式専用の公式大会も催されている。 学生杯 最早日本全国において流行している神姫バトルだが 学生たちの手によって改造する事で未来のエンジニアとしての独創性を磨くという名目で 学生同士でも広く公式的に大会が催されている。 特に全国大会は運動部の大会程ではないが、テレビ局の取材や番組などにも取り上げられる大規模なものとなっている。 トップ
https://w.atwiki.jp/hyakukami/pages/614.html
どこまでが確認済みかわからなくなるので、確認したところは通常値でも記載を ●はイベント貢物、○はガチャキャラ関係貢物 ⇒他キャラ貢物:通常エリア(始まりの森~ / 中国山脈~ / ギリシャ海中~ / ギリシャ果樹園~ ) イベントエリア(黄泉の国~ / 聖なる火~ / イツラ~ / 兄貴の心~ / 夏バテ姫~ / 地上の春~) ガチャ(ガチャ1 / ガチャ2 / ガチャ3 / ガチャ4 / ガチャ5 / ガチャ6) [[アマテラス]]から[[イツパパロトル]]まで 名前 通常値 アマテラス イザナギイザナミ 北斗星君南斗星君 ペルセウス アテナ ムンム ミエリッキ レンミンカイネン 年神 普通の肉 10 5 5 10 10 5 10 5 5 10 オリーブの実 15 7 15 15 7 15 7 7 15 オリーブの木 30 15 15 30 30 15 30 15 15 30 マリネ 60 30 60 60 30 60 30 30 60 高級マリネ 150 75 150 75 75 75 コブラの丸焼き 20 10 20 20 10 20 10 10 20 キングコブラの丸焼き 40 20 40 40 20 40 20 20 40 シシケバブ 80 40 80 80 40 80 40 40 80 特大シシケバブ 200 100 200 100 200 100 100 200 甘酒 25 12 12 25 25 12 25 12 12 25 お神酒 50 25 25 50 50 25 50 25 25 50 伊勢エビ 100 50 100 100 50 100 50 50 120 伊勢エビ・極 250 125 250 125 250 125 125 300 ナツメグ 30 15 30 30 15 30 15 15 30 ナツメグ盛合 60 30 60 60 30 60 30 30 60 タンドリーチキン 120 60 120 120 60 120 60 60 120 特製タンドリーチキン 300 150 300 150 300 150 150 300 キイチゴ 35 17 17 35 35 17 35 17 17 35 キイチゴ盛合 70 35 35 70 70 35 70 35 35 70 トリュフ 140 70 140 70 140 70 70 140 白トリュフ 350 175 350 350 175 350 175 175 350 干し肉 40 20 20 40 40 20 40 20 20 40 干し肉盛合 80 40 80 80 40 80 40 40 80 蜂蜜酒 80 40 40 80 80 40 80 40 40 80 高級蜂蜜酒 400 200 400 400 200 400 200 200 400 饅頭 45 22 22 54 45 22 45 22 22 45 饅頭盛合 90 45 45 108 90 45 90 45 45 90 フカヒレ 180 90 90 216 180 90 144 90 90 180 高級フカヒレ 450 225 675 450 225 225 225 225 450 ナツメヤシ 50 25 25 50 50 25 60 25 25 50 ナツメヤシ盛合 100 50 100 100 50 150 50 50 100 ラムステーキ 200 100 100 200 200 100 240 100 100 200 高級ラムステーキ 500 250 500 500 250 600 250 250 500 ライチ 55 55 55 55 55 27 55 27 27 55 ライチ盛合 110 110 110 110 110 55 110 55 55 110 赤ワイン 220 220 220 220 220 110 220 110 110 220 高級赤ワイン 510 510 510 510 255 510 255 255 510 トウモロコシ 60 60 60 60 60 60 60 30 30 60 トウモロコシ盛合 120 120 120 96 120 120 120 60 60 120 プルケ酒 240 240 240 120 240 240 120 120 240 高級プルケ酒 520 520 520 520 520 260 260 オーガニックスパイス 70 70 70 70 70 70 70 35 35 高級オーガニックスパイス 130 130 130 130 130 130 130 65 65 ミールス 260 260 260 260 260 260 130 130 高級ミールス 530 530 530 530 530 265 265 エンドウ豆 80 80 80 80 80 80 80 80 80 エンドウ豆盛合 140 140 140 140 140 140 140 140 140 ターメイヤ 270 270 270 270 270 270 270 270 ターメイヤ盛合 540 540 540 540 540 540 マリダ 90 90 90 90 90 90 90 90 90 マリダのフライ 150 150 150 150 150 150 150 150 150 ギリシャヨーグルト 280 280 280 280 280 280 280 280 高級ギリシャヨーグルト 550 550 550 550 550 550 コンプシト 95 95 95 95 95 95 95 95 95 95 コンプシト盛り合わせ 155 155 155 155 155 155 155 155 155 日干しサケ 285 285 285 285 285 285 285 285 新鮮なサケ 555 555 555 555 555 555 555 パイナップル 100 100 100 100 100 100 100 100 100 パイナップルの盛り合わせ 160 160 160 160 160 160 160 160 ラウラウ 290 290 290 290 290 290 290 290 ラウラウの盛り合わせ 560 560 560 560 560 560 560 肉まん 105 105 105 105 105 105 105 105 105 肉まんの盛合わせ 165 165 165 165 165 165 165 165 人参果 295 295 295 295 295 295 295 295 人参果の盛合わせ 565 565 565 565 565 565 ピーナッツ 110 88 110 110 110 110 110 110 ピーナッツ盛り合わせ 170 170 170 170 170 170 170 170 ナバホタコ 300 150 240 300 300 300 300 ナバホタコ盛り合わせ 570 285 570 570 アンズタケ 115 115 115 115 115 115 115 115 アンズタケの盛り合わせ 175 175 175 175 175 175 175 175 キャビア 305 305 305 305 305 305 高級キャビア 575 575 575 575 黄昏のリンゴ 120 120 120 120 120 120 120 120 黄昏のリンゴの盛り合わせ 180 180 180 180 180 180 楽園の果物 310 310 310 310 310 310 高級楽園の果物 580 580 580 岩ガキ 125 125 125 125 125 125 125 岩ガキ盛り合せ 185 185 185 185 185 185 ウニ 325 325 325 325 325 高級ウニ 585 585 585 585 トマト 130 130 130 130 130 トマト盛り合わせ 190 190 190 190 タキートス 330 330 330 高級タキートス 590 590 スコーン --- 135 135 135 135 ハニースコーン --- 195 195 195 紅茶の葉 --- --- --- 名前 通常値 アマテラス イザナギイザナミ 北斗星君南斗星君 ペルセウス アテナ ムンム ミエリッキ レンミンカイネン 年神 ● ネクタル 3000 3000 ● 苺大福 40 60 48 40 20 40 ● 苺大福盛合 80 120 96 80 40 ● 桃 60 90 90 30 60 30 60 ● 桃盛合 100 150 150 100 50 100 ● 金平糖 150 225 180 75 150 75 150 ● 大盛金平糖 350 ● ズワイガニ 170 255 ● ズワイガニ三昧セット 370 555 ● 林檎 130 130 130 195 195 130 130 ● 林檎盛合 260 260 390 390 260 260 ● チーズ 40 40 40 60 60 40 20 20 40 ● チーズ盛合 80 120 120 80 40 80 ● ジンジャークッキー 40 40 60 60 40 ● ジンジャークッキー盛合 70 105 105 ● ブッシュ・ド・ノエル 150 150 225 225 150 ● 豪華ブッシュ・ド・ノエル 230 230 345 345 230 ● 丸もち 200 200 200 240 ● 鏡餅 500 500 750 ● 落雁 40 40 40 40 40 40 40 ● お屠蘇 70 70 70 70 70 ● いよかん 150 150 150 150 ● いよかん盛合 230 230 230 230 230 ● 紅白のお神酒 100 100 ● 朱漆のお神酒 300 300 ● 黒漆のお神酒 500 500 ● イチジク 200 200 200 200 ● イチジク盛合 500 500 500 ● イチジクのプディング 2800 2800 ● 節分豆 500 500 500 500 ● アーモンド 40 40 40 40 40 ● アーモンド盛り合わせ 70 70 70 70 ● ボールチョコレート 150 150 150 ● ラブトリュフ 70 70 70 70 ● スイートハートチョコ 150 150 150 ● 高級カカオ 150 150 ● チョコクッキー 230 230 ● スターフルーツ 200 200 ● スターフルーツ盛り合わせ 500 500 ● レーズンクッキー 40 ● レーズンクッキー盛合 70 70 70 ● オートミール 150 ● 高級オート-ミール 200 ● トルティーヤ 200 200 ● トルティーヤサンド 500 500 ● ヤシ酒 50 ● 熟成ヤシ酒 100 ● 湧き水 100 ● 溢れる湧き水 300 ● ウーゾ 40 ● 高級ウーゾ 70 ● 真珠のケーキ 150 ● 真珠のケーキ盛り合わせ 230 ● カルカデ 200 ● 高級カルカデ 500 ● 仙桃饅頭 40 ● 仙桃饅頭の盛り合わせ 70 ● 仙酒 150 150 ● 高級仙酒 230 ● 水ようかん 200 ● 杏子の水ようかん 500 ● トマトのポタージュ 40 40 ● 豆のポタージュ 70 70 ● 仔牛のソテー 150 150 ● 白身魚のソテー 230 ● アクアビット 200 200 ● 熟成アクアビット 500 ● りんご飴 40 ● りんご飴のセット 70 ● ラムネ 150 ● ラムネのセット 230 ● インドカリー 200 ● タンドリーチキンカリー 500 ● トノト 40 ● トノトのセット 70 ● パリモモの刺身 150 ● パリモモの刺身の盛り合わせ 230 ● ショコラトル 200 ● シナモンショコラトル 500 ● キャンディ 40 ● キャンディ盛り合わせ 70 ● かぼちゃクッキー 150 ● かぼちゃクッキー盛り合わせ 230 ● キャンディーコーン 40 ● キャンディーコーンの盛り合わせ 70 ● キャラメルアップル 150 ● キャラメルアップルのセット 230 ● チャーハン 200 ● あんかけチャーハン 500 ● 蜂蜜パン 40 ● まるごと蜂蜜パン 70 ● ガンバリのグリル 150 ● ガンバリのグリルの盛り合わせ 230 ● チーズケーキ 200 ● ギリシャ風チーズケーキ 500 ● キャンディケイン 40 ● キャンディケインの盛り合わせ 70 ● ローストビーフ 150 ● 高級ローストビーフ 230 ● 大福餅のセット 200 ● 新鮮な鯛 500 ● ざくろ 40 ● ざくろの盛り合わせ 70 ● ギリシャブランデー 150 ● 高級ギリシャブランデー 230 ● 林檎ケーキ 200 ● 黄金の林檎ケーキ 500 ● チョコストロベリー 40 ● チョコストロベリーの盛り合わせ 70 ● パウンドケーキ 150 ● リースパウンドケーキ 230 230 ● アンパン 200 ● アンパンの盛り合わせ 500 ● 桜餅 200 ● 桜餅の盛り合わせ 500 ● 宇治金時 ??? ● 高級宇治金時 ??? ● ビフテキ 200 ● ビフテキ盛り合せ 500 ● パーニープーリー 200 ● 蜂蜜パーニープーリー 500 ● ほくほくジャガイモ 200 ● ジャガイモの盛り合わせ 500 ● 柏餅 200 ● ビベルドルマ 200 ● ビベルドルマ盛り合わせ 500 ● 豪華ビベルドルマ 800 ● クレフト 200 ● クレフトの盛り合わせ 500 ● 焼乳猪 200 ● 焼乳猪のセット 500 ● ブラッドプディング 200 ● ブラッドプディング盛り合せ 500 ● バラハエルシャーム 200 ● バラハエルシャーム盛り合わせ 500 ● 海ツバメの巣 200 ● 海ツバメの巣スープ 500 ● トロピカルジュース 200 ● トロピカルジュース盛り合わせ 500 ● 俵むすび 200 ● 俵むすび盛り 500 ● ディオニュソスのブドウ 200 ● ディオニュソスのブドウ盛り合わせ 500 ○ エイシ 100 50 ○ アーモンドエイシ 220 ○ ザクロ 120 ○ ザクロ盛り合わせ 330 ○ チャイ 100 ○ 高級チャイ 220 ○ マンゴー 120 ○ マンゴー盛り合わせ 330 ○ 生ハム 110 110 110 ○ 生ハム盛り合わせ 300 ○ 北京ダック 110 110 ○ 高級北京ダック 300 ○ ブドウ 110 110 ○ ブドウ盛り合わせ 300 ○ ピスタチオ 110 55 55 110 ○ ピスタチオのケーキ 300 ○ シチューパイ 110 ○ ホワイトシチュー 300 ○ おしるこ 110 110 110 ○ お雑煮 300 ○ ルクミ 110 ○ バクラヴァ 300 ○ 白ワイン 110 ○ 高級白ワイン 300 ○ シェパーズパイ 110 ○ ホールドシェパーズパイ 300 ○ お神酒(赤漆) 110 ○ お神酒(黒漆) 300 ○ アボカド 110 ○ アボカドの盛り合わせ 300 ○ ガジャル・ハルワ 110 ○ ガジャル・ハルワの盛り合わせ 300 ○ オクトープスのグリル 110 ○ オクトープスのグリルの盛り合わせ 300 ○ キーッセリ 110 ○ キーッセリの盛り合わせ 300 ○ ハマム・マッハシ 110 ○ 高級ハマム・マッハシ 300 ○ マトンのシチュー 110 ○ マトンのシチューの盛り合わせ 200 ○ 天ぷら 110 ○ 天ぷら盛り合わせ 300 ○ 金華ハム 110 ○ まるごと金華ハム 300 ○ ニシンの酢漬け 110 ○ 高級ニシンの酢漬け 300 ○ リンゴの蜂蜜漬け 110 ○ 山盛りリンゴの蜂蜜漬け 300 ○ グラブジャムン 110 ○ グラブジャムンの盛り合わせ 300 ○ グリキリーザのお茶 110 ○ グリキリーザのお茶セット 300 ○ パリジャーダ 110 ○ パリジャーダの盛り合わせ 300 ○ サボテンサラダ 110 ○ 高級サボテンサラダ 300 ○ アワビの醤油煮 110 ○ アワビの醤油煮セット 300 ○ キール 110 ○ 高級キール 300 ○ スブラキ 110 ○ 山盛りスブラキ 300 ○ モロヘイヤのスープ 110 ○ モロヘイヤのスープセット 300 ○ きなこ餅 110 ○ きなこ餅の盛合わせ 300 ○ カラマリ 110 ○ カラマリの盛り合わせ 300 ○ ハートのドーナツ 110 ○ ハートのドーナツの盛り合せ 300 ○ 煎りどんぐり 110 ○ 煎りどんぐりの盛り合わせ 300 ○ アヒ・ポケ 110 ○ アヒ・ポケの盛り合わせ 300 ○ イワシの刺身 110 ○ 高級イワシのお造り 300 ○ ウィトラコーチェグラタン 110 ○ ウィトラコーチェグラタンセット 300 ○ 月の霊酒 110 ○ 上質な月の霊酒 300 ○ 骨付き肉 110 110 ○ 骨付き肉盛り合わせ 300 名前 通常値 弁財天 大黒天 イリス クピド プシュケー アグニ ブリギッド ダグザ イツパパロトル 普通の肉 10 5 5 10 5 10 10 5 10 10 オリーブの実 15 7.5 7.5 15 7 15 15 7 15 15 オリーブの木 30 15 15 30 15 30 30 15 30 30 マリネ 60 30 30 60 30 60 60 30 60 60 高級マリネ 150 75 75 150 75 150 150 コブラの丸焼き 20 10 10 20 10 20 20 10 20 20 キングコブラの丸焼き 40 20 20 40 20 40 40 40 40 シシケバブ 80 40 40 80 40 80 80 80 80 特大シシケバブ 200 100 100 200 100 200 200 甘酒 25 30 30 25 12 25 25 25 25 お神酒 50 60 60 50 25 50 50 25 50 50 伊勢エビ 100 50 50 100 50 100 100 100 100 伊勢エビ・極 250 125 125 250 125 250 250 ナツメグ 30 15 15 30 15 30 30 15 30 30 ナツメグ盛合 60 30 30 60 30 60 60 60 60 タンドリーチキン 120 60 60 120 60 120 144 120 120 特製タンドリーチキン 300 150 150 300 150 300 360 キイチゴ 35 17.5 17.5 35 17 35 35 17 35 35 キイチゴ盛合 70 35 35 70 35 70 70 35 70 70 トリュフ 140 70 70 140 70 140 140 白トリュフ 350 175 175 350 175 350 350 干し肉 40 20 20 40 20 40 40 20 40 40 干し肉盛合 80 40 40 80 40 80 80 80 80 蜂蜜酒 80 40 40 40 80 80 80 高級蜂蜜酒 400 200 200 400 200 400 400 400 饅頭 45 22.5 22.5 45 22 45 45 22 45 45 饅頭盛合 90 45 45 90 45 90 90 90 90 フカヒレ 180 90 90 180 90 180 180 180 高級フカヒレ 450 225 225 450 225 450 450 450 ナツメヤシ 50 25 25 50 25 50 50 25 50 50 ナツメヤシ盛合 100 50 50 100 50 100 100 100 100 ラムステーキ 200 100 100 200 100 200 200 200 高級ラムステーキ 500 250 250 500 250 500 500 500 ライチ 55 27.5 27.5 82.5 27 55 55 27 55 55 ライチ盛合 110 55 55 132 55 110 110 110 110 赤ワイン 220 110 110 220 110 220 176 110 高級赤ワイン 510 255 255 510 255 510 255 510 トウモロコシ 60 30 30 60 30 60 60 30 60 90 トウモロコシ盛合 120 60 60 120 60 120 120 120 144 プルケ酒 240 120 120 240 120 240 240 240 240 高級プルケ酒 520 260 260 260 520 520 オーガニックスパイス 70 35 35 70 35 70 70 35 70 70 高級オーガニックスパイス 130 65 65 130 65 130 130 130 130 ミールス 260 130 130 130 250 高級ミールス 530 265 265 265 エンドウ豆 80 80 80 80 80 80 80 エンドウ豆盛合 140 140 140 140 140 ターメイヤ 270 270 270 270 270 ターメイヤ盛合 540 540 540 540 マリダ 90 90 90 90 90 マリダのフライ 150 150 150 150 ギリシャヨーグルト 280 280 280 280 高級ギリシャヨーグルト 550 550 550 550 コンプシト 95 95 95 95 95 コンプシト盛り合わせ 155 155 155 155 155 日干しサケ 285 285 285 285 新鮮なサケ 555 555 555 555 パイナップル 100 100 100 100 100 パイナップルの盛り合わせ 160 160 160 160 ラウラウ 290 290 290 ラウラウの盛り合わせ 560 560 560 肉まん 105 105 105 105 肉まんの盛合わせ 165 165 165 165 人参果 295 295 295 人参果の盛合わせ 565 565 565 ピーナッツ 110 110 110 110 ピーナッツ盛り合わせ 170 170 170 170 ナバホタコ 300 300 300 ナバホタコ盛り合わせ 570 570 570 アンズタケ 115 115 115 115 115 アンズタケの盛り合わせ 175 175 175 175 キャビア 305 305 305 高級キャビア 575 575 黄昏のリンゴ 120 120 120 120 黄昏のリンゴの盛り合わせ 180 180 180 楽園の果物 310 310 310 高級楽園の果物 580 580 580 岩ガキ 125 125 125 125 岩ガキ盛り合せ 185 185 185 185 ウニ 325 325 325 高級ウニ 585 585 585 トマト 130 130 130 130 トマト盛り合わせ 190 190 190 タキートス 330 高級タキートス 590 スコーン 135 135 135 135 ハニースコーン 195 195 紅茶の葉 --- --- --- 名前 通常値 弁財天 大黒天 イリス クピド プシュケー アグニ ブリギッド ダグザ イツパパロトル ● ネクタル 3000 1500 ● 苺大福 40 20 20 20 40 ● 苺大福盛合 80 40 ● 桃 60 30 30 30 60 ● 桃盛合 100 50 50 50 100 ● 金平糖 150 75 75 ● 大盛金平糖 350 ● ズワイガニ 170 85 ● ズワイガニ三昧セット 370 ● 林檎 130 ● 林檎盛合 260 130 130 260 ● チーズ 40 20 20 20 40 ● チーズ盛合 80 ● ジンジャークッキー 40 20 20 40 20 40 40 ● ジンジャークッキー盛合 70 70 70 ● ブッシュ・ド・ノエル 150 75 150 150 ● 豪華ブッシュ・ド・ノエル 230 115 230 ● 丸もち 200 100 200 ● 鏡餅 500 250 500 500 ● 落雁 40 60 60 40 20 40 40 ● お屠蘇 70 105 105 70 35 70 70 ● いよかん 150 225 225 150 150 150 ● いよかん盛合 230 345 345 230 230 230 ● 紅白のお神酒 100 150 150 50 ● 朱漆のお神酒 300 450 450 ● 黒漆のお神酒 500 750 750 ● イチジク 200 240 100 200 200 ● イチジク盛合 500 600 250 500 ● 節分豆 500 500 250 500 ● アーモンド 40 60 60 40 20 ● アーモンド盛り合わせ 70 105 105 70 ● ボールチョコレート 150 225 225 150 ● チョコクッキー 230 345 345 230 ● ラブトリュフ 70 105 105 70 ● スイートハートチョコ 150 225 225 150 ● スイートホワイトハートチョコ 2300 3450 3450 ● 高級カカオ 150 225 225 ● スターフルーツ 200 300 ● スターフルーツ盛り合わせ 500 600 ● レーズンクッキー 40 40 60 60 40 ● レーズンクッキー盛り合わせ 70 70 105 105 ● オートミール 150 225 225 150 ● 高級オートミール 230 345 345 ● トルティーヤ 200 240 ● トルティーヤサンド 500 600 ● ヤシ酒 50 ● 熟成ヤシ酒 100 ● 湧き水 100 ● 溢れる湧き水 300 ● 柏餅 200 200 200 ● ウーゾ 40 ● 高級ウーゾ 70 70 ● 真珠のケーキ 150 150 150 ● 真珠のケーキ盛合 230 ● カルカデ 200 ● 高級カルカデ 500 ● 仙桃饅頭 40 40 ● 仙桃饅頭盛り合わせ 70 ● 仙酒 150 ● 高級仙酒 ??? ● 水ようかん 200 ● 杏子の水ようかん 500 ● トマトのポタージュ 40 40 40 ● 豆のポタージュ 70 70 70 ● 仔牛のソテー 150 ● 白身魚のソテー 230 ● アクアビット 200 200 ● 熟成アクアビット 500 ● りんご飴 40 ● りんご飴のセット 70 ● ラムネ 150 ● ラムネのセット 230 ● インドカリー 200 ● タンドリーチキンカリー 500 ● トノト 40 ● トノトのセット 70 ● パリモモの刺身 150 ● パリモモの刺身の盛り合わせ 230 ● ショコラトル 200 ● シナモンショコラトル 500 ● キャンディ 40 ● キャンディ盛り合わせ 70 ● かぼちゃクッキー 150 ● かぼちゃクッキー盛り合わせ 230 ● キャンディーコーン 40 ● キャンディーコーンの盛り合わせ 70 ● キャラメルアップル 150 ● キャラメルアップルのセット 230 ● チャーハン 200 ● あんかけチャーハン 500 ● 蜂蜜パン 40 ● まるごと蜂蜜パン 70 ● ガンバリのグリル 150 ● ガンバリのグリルの盛り合わせ 230 ● チーズケーキ 200 ● ギリシャ風チーズケーキ 500 ● キャンディケイン 40 ● キャンディケインの盛り合わせ 70 ● ローストビーフ 150 ● 高級ローストビーフ 230 230 ● 大福餅のセット 200 ● 新鮮な鯛 500 ● ざくろ 40 ● ざくろの盛り合わせ 70 ● ギリシャブランデー 150 ● 高級ギリシャブランデー 230 230 ● 林檎ケーキ 200 ● 黄金の林檎ケーキ 500 ● チョコストロベリー 40 ● チョコストロベリーの盛り合わせ 70 ● パウンドケーキ 150 ● リースパウンドケーキ 230 ● アンパン 200 ● アンパンの盛り合わせ 500 ● 桜餅 200 200 ● 桜餅の盛り合わせ 500 500 ● 宇治金時 ??? 800 ● 高級宇治金時 ??? ● ビフテキ 200 ● ビフテキ盛り合せ 500 ● パーニープーリー 200 ● 蜂蜜パーニープーリー 500 ● ほくほくジャガイモ 200 ● ジャガイモの盛り合わせ 500 ● 柏餅 200 ● ビベルドルマ 200 ● ビベルドルマ盛り合わせ 500 ● 豪華ビベルドルマ 800 ● クレフト 200 ● クレフトの盛り合わせ 500 ● 焼乳猪 200 ● 焼乳猪のセット 500 ● ブラッドプディング 200 ● ブラッドプディング盛り合せ 500 ● バラハエルシャーム 200 ● バラハエルシャーム盛り合わせ 500 500 ● 海ツバメの巣 200 ● 海ツバメの巣スープ 500 ● トロピカルジュース 200 ● トロピカルジュース盛り合わせ 500 ● 俵むすび 200 ● 俵むすび盛り 500 500 ● ディオニュソスのブドウ 200 ● ディオニュソスのブドウ盛り合わせ 500 ○ エイシ 100 ○ アーモンドエイシ 220 ○ ザクロ 120 60 ○ ザクロ盛り合わせ 330 ○ チャイ 100 ○ 高級チャイ 220 ○ マンゴー 120 ○ マンゴー盛り合わせ 330 ○ 生ハム 110 110 ○ 生ハム盛り合わせ 300 ○ 北京ダック 110 110 110 ○ 高級北京ダック 300 ○ ブドウ 110 110 ○ ブドウ盛り合わせ 300 ○ ピスタチオ 110 55 110 110 ○ ピスタチオのケーキ 300 ○ シチューパイ 110 110 110 55 ○ ホワイトシチュー 300 ○ おしるこ 110 55 55 110 55 110 ○ お雑煮 300 ○ ルクミ 110 110 110 ○ バクラヴァ 300 ○ 白ワイン 110 ○ 高級白ワイン 300 ○ シェパーズパイ 110 ○ ホールドシェパーズパイ 300 ○ お神酒(赤漆) 110 ○ お神酒(黒漆) 300 ○ アボカド 110 ○ アボカドの盛り合わせ 300 ○ ガジャル・ハルワ 110 ○ ガジャル・ハルワの盛り合わせ 300 ○ オクトープスのグリル 110 ○ オクトープスのグリルの盛り合わせ 300 ○ キーッセリ 110 ○ キーッセリの盛り合わせ 300 ○ ハマム・マッハシ 110 ○ 高級ハマム・マッハシ 300 ○ マトンのシチュー 110 ○ マトンのシチューの盛り合わせ 200 ○ 天ぷら 110 ○ 天ぷら盛り合わせ 300 ○ 金華ハム 110 ○ まるごと金華ハム 300 ○ ニシンの酢漬け 110 ○ 高級ニシンの酢漬け 300 ○ リンゴの蜂蜜漬け 110 ○ 山盛りリンゴの蜂蜜漬け 300 ○ グラブジャムン 110 ○ グラブジャムンの盛り合わせ 300 ○ グリキリーザのお茶 110 ○ グリキリーザのお茶セット 300 ○ パリジャーダ 110 ○ パリジャーダの盛り合わせ 300 ○ サボテンサラダ 110 ○ 高級サボテンサラダ 300 ○ アワビの醤油煮 110 ○ アワビの醤油煮セット 300 ○ キール 110 ○ 高級キール 300 ○ スブラキ 110 ○ 山盛りスブラキ 300 ○ モロヘイヤのスープ 110 ○ モロヘイヤのスープセット 300 ○ きなこ餅 110 ○ きなこ餅の盛合わせ 300 ○ カラマリ 110 ○ カラマリの盛り合わせ 300 ○ ハートのドーナツ 110 ○ ハートのドーナツの盛り合せ 300 ○ 煎りどんぐり 110 ○ 煎りどんぐりの盛り合わせ 300 ○ アヒ・ポケ 110 ○ アヒ・ポケの盛り合わせ 300 ○ イワシの刺身 110 ○ 高級イワシのお造り 300 ○ ウィトラコーチェグラタン 110 ○ ウィトラコーチェグラタンセット 300 ○ 月の霊酒 110 110 ○ 上質な月の霊酒 300 ○ 骨付き肉 110 ○ 骨付き肉盛り合わせ 300 メモ(上記一覧にない希少性の高い貢物の数値) 名前 通常値 神様名 上昇値 白銀の林檎(十二宮ガチャミニコンプ景品) 1000 アテナ 1500 高級中国酒(北斗・南斗救出大作戦!) ? 北斗星君・南斗星君 1000 トナカイのぬいぐるみ(サンタの森ミニガチャ) ? ミエリッキ 600 サンタ帽(サンタの森ミニガチャ) ? 黄金のヒイラギナイフ(サンタログインプレゼント) ? レンミンカイネン 400(キャンペーン時でも400) クリスマスブーツ(サンタの森ミニガチャ) ? ミエリッキ 800(キャンペーン時) サンタ服(サンタの森ミニガチャ) ? サンタのソリ(サンタの森ミニガチャ) ? 豪華三段おせち 2800 年神 3360 烏帽子 ? 弁財天 600 祈願札 ? 童子切 ? つづみ ? 金のお神酒 1000 弁財天 1500 大黒天 1500 紅白の升酒 1500 弁財天 2250 大黒天 2250 朱漆の升酒 1700 弁財天 3000 大黒天 3000 黒漆の升酒 2000 年神 2000 弁財天 3000 大黒天 3000 金の升酒 2500 弁財天 3700 大黒天 3700 豪華ローストターキープレート ? ミエリッキ ミエリッキ:多分2800?(LV22:77/138→LV37:149/236) ラブトリュフ詰め合わせ ? プシュケー 2250 スペシャルタンドリーチキン ? アグニ 1500 イチジクのプディング 2800 イリス 2800 ナビィの愛のチョコ 1000r800 クピド 1200 プシュケー 1200 カカオ 1000 プシュケー 1500 ダグザ特製オートミール ? ブリギッド 1000 ダグザ 1000 コッペパンサンドイッチ ? ブリギッド 2000 トルティーヤサンド ? イツパパロトル 600 情報提供 何分項目が多く網羅が大変なのでつけてみました。 たまにまとめて更新します。 アマテラス:高級ギリシャヨーグルト550 -- (名無しさん) 2013-05-24 03 20 48 アマテラス:オーガニックスパイス70 -- (名無しさん) 2013-05-24 03 33 21 イザイザ初期:イザナミ愛妻弁当1500(1.5倍) -- (名無しさん) 2013-05-31 11 05 36 イザイザ第一:イザナミ愛妻弁当1000 -- (名無しさん) 2013-05-31 11 15 15 イザイザ第一:ズワイガニ三昧セット555、ズワイガニ204(1.2倍) -- (名無しさん) 2013-05-31 11 20 02 イザイザ第二:普通の肉10 -- (名無しさん) 2013-05-31 23 43 53 イザイザ初期:ズワイガニ255(1.5倍) -- (名無しさん) 2013-06-02 21 26 12 ミエリッキ:高級ミールス265、エンドウ豆80 -- (名無しさん) 2013-06-18 06 49 40 ミエリッキ:ターメイヤ盛合540 -- (名無しさん) 2013-06-18 06 56 29 ミエリッキ:肉まん盛合165 -- (名無しさん) 2013-06-19 04 40 34 ブリギッド:想い出のホールドシェパーズパイ1500 -- (名無しさん) 2013-08-04 20 18 45 レンミン:トリュフ70、パイナップル100、コンプシト95、マリダ90、オーガニックスパイス35、エンドウ豆80 -- (名無しさん) 2013-11-25 21 35 16 ミエリッキ様、ネクタル1500。親密度1(0)から親密度16(56)までしか上がらなかったので。 -- (Goblin) 2013-11-26 21 54 11 大黒天 肉まん105 アンズタケ115 -- (名無し) 2014-01-31 12 42 02 大黒天第一:普通の肉10 ライチ盛合110 -- (名無しさん) 2014-02-09 17 38 05 クピト:ショコラトル200 -- (名無しさん) 2014-02-27 23 18 50 弁財天:アーモンド40 アーモンド盛合せ70 ボールチョコレート150 -- (名無しさん) 2014-03-03 19 12 56 弁財天:想い出のチョコクッキー80 -- (名無しさん) 2014-03-03 19 19 15 弁財天:栗20 栗盛合せ35 -- (名無しさん) 2014-03-06 13 00 00 ▲▲▲移転にあわせデータ取得しました▲▲▲ -- (名無しさん) 2014-07-21 13 57 55 名前 コメント すべてのコメントを見る ▲
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/388.html
「な、何なのですかぁぁぁ!?」 背中に装着された、ビームによる光の翼=M・D推進器をフル稼働させ、最大加速を行う1体の神姫。 「マオチャオ……殺…す…!」 そしてそれを地獄の業火に叩き落さんと猛追する、漆黒の翼。 その眼に宿るは憎悪、純粋に想うが故の儚く悲しい怒りの炎。 「ティキは怨まれる覚えはないのですよぉ!」 ねここの飼い方・光と影 ~ニ章~ 『くっ、何でこんな事になっちゃうんだ!?』 思わず彼の口からは、怨みにも似た言葉が飛び出す。 高校生なのだが、まだ若干あどけなさの残る顔つき、メガネをかけておりその奥には優しげな瞳が宿っている。 その彼=藤原雪那にして今回は相手に怨み節を言う事になっていた。 『ティキ、相手も早いけどあの大型のユニットじゃティキみたいな細かい機動は無理なはず。もっと動いてかく乱して!』 「わかってるのですけどぉ……思ったより動くのです……よぉ!?」 2人が今後の展開についてやり取りする間にも、果断なく攻撃を仕掛けてくる相手の黒い神姫。 レーザーライフルの先端からレーザーブレードを展開、直線的に体当たりを仕掛けてくる。 ティキはその驚異的な運動性でブレードを回避、だがそのまま突進してきた相手の翼と接触。ぐらりと一瞬大きく体制を崩す。 一方相手も翼を損傷し多少の挙動の乱れを見せるものの、元々の重量が違いすぎるためあまり深刻なダメージは負っていない。 そして2人が困惑しているのは、何より相手の攻撃方法だった。 自己の損傷も厭わない無謀な特攻戦法。それはまるで旧日本軍の神風特攻を連想させる。 いくら仮想空間とはいえ、此処まで過激な戦法を取る神姫は滅多にいない。 それに……と、ティキに指示を出しつつ雪那は慌しく回想する。 (さっきまでの戦闘だとこんな事してなかったのに、何で僕とティキの時だけこんな事するんだ!?) 流石に声に出すには躊躇されたが、そう思う他に無い。 その日、雪那とティキはすっかり恒例になった月2回のエルゴへの遠征を行っていた。 「よーし、エルゴの皆さんにティキの新しい力を見せてあげようね!」 「ティキと~っても頑張っちゃうのですよぉ☆」 まるで楽しい遠足に行くようなハイテンション気分の2人。足取りも軽くエルゴの店内へと吸い込まれていく。 「こんにちは店長さん、ジェニーさん」 「こんにちわですぅ」 軽やかにハモりながら挨拶を掛ける2人。此処数ヶ月通いつめており、すっかり常連となっている。 「やぁ藤原くん、いらっしゃい。ティキちゃんもこんにちは」 店長さんがにこやかな笑顔と共に挨拶を返してくれる。 「今日はまずバトルかい? 例のユニットをお披露目にきたんだろ?」 ニカっと爽やかに、2人の来た目的を見抜く店長。すっかり顔なじみである。 「はい! その節は色々とありがとうございました。それじゃ早速行ってきます!」 その常連ならではの対応の嬉しさを噛み締めつつ、2人は2Fのバトルスペースへと上がってゆく。 「何時も盛況だねぇ、しかもレベル高いし」 「ですぅ。見てるだけでも勉強になるのですよぉ☆」 マルチスクリーンに次々と映し出されていく試合映像に一心不乱に見入っている2人。 彼らの地元地域でも武装神姫は盛んではあるが、平均レベルで言えばエルゴには今ひとつ及ばない。 尤も其れは、エルゴに出入りする人々の平均レベルが抜きん出ているのではあるが。 卵が先か鶏が先かのようなもので、入り浸りになっている内に自然と鍛えられ実力を身に付けた者、噂を聞きつけた他地域の腕自慢、取り扱いの少ない希少パーツを求めて辿り着いた者、初期から武装神姫関連を扱っていたため極初期から通い続けているテスター上がりの古強者ete…… 強いて言うならば50年以上昔にベーマガ紙上のスコアランキングで上位を独占した人々が集っていた、伝説の巣鴨キャロットのような状態だろうか…… 兎も角、2人はすっかりその場の雰囲気に呑まれ、かつ満喫していたが、やがて1つの試合がその目に止まる。 それは、黒いアーンヴァルと白い通常のアーンヴァルが激しい空中戦を繰り広げている映像だった。 黒いアーンヴァルが背部に装着しているユニットが通常のものではなく、アーンヴァル用パーツで組み上げられた、まるで重戦闘機のようなシルエットになっているのだが、それが喉の奥に挟まった魚の小骨のように記憶に引っかかる。 「ねぇティキ。あの黒いアーンヴァルの武装なんだけれど、どっかで見た記憶ないかな? なんとなく見覚えがあるんだけれど思い出せなくて……」 う~ん、と軽く腕組みをして考え込む雪那。 ティキも真似するようにう~んと腕組みをした後、頭に電球がピカーンと光ったかのように明るい表情になって 「あ、ねここちゃんのシューティングスターにソックリなのですよぉ♪」 「なるほどー、言われてみると同じだね。ティキよく覚えていたね」 「えっへん、なのです♪」 ちょいん、と胸を反るティキ。威張っているようだが、その実とっても愛らしいポーズを取っている。 「……っと、勝負が着きそうだ」 スクリーンには黒いアーンヴァルが、相手のウィングをレーザーライフルで撃ち抜いた瞬間が映し出されていた。 飛翔する為の羽をもがれ、無残に地上への接吻を強要される白いアーンヴァル。 こうなっては彼女に勝ち目は殆どなくなる、空戦用の機体が肝心の飛行能力を失ってしまっては意味がない。 程無く相手のマスターのギブアップ宣言で試合は終了。 相手に対して丁寧に一礼をしてから、フィールドを去ってゆく黒いアーンヴァル。 束ねられた長髪が風になびき、それだけが静止した場面の中での唯一の動きといえた。 「マスタ、ティキはあの人と戦ってみたいのですよぉ☆」 「え、ティキから戦ってみたいだなんて珍しいね」 ティキは、んー……と唇に指先を軽く当て、考えるしぐさをしてから 「あの人の戦い方とか、ねここちゃんに似てる感じがするのですよぉ。なのでティキにとっても参考になるかなと思ったのですぅ♪」 「なるほどね。なら胸を貸して貰うつもりでどーんと行っちゃおうかっ!」 「はいですぅ!」 おー! とガッツポーズを取って気合を入れる2人。近くにいた人たちは一瞬何事かと振り向くが、それもすぐに沈静化。 『それじゃ、宜しくお願いしますね』 『宜しく』 相手はエルゴ内の人ではなく、同一エリア内のセンターからアクセスしている人らしかった。 簡単なバトル手続きをした後、通信でマスター同士が軽い挨拶を交わし、戦闘準備に入る。 「……お手柔らかに」 「はじめまして♪ お手合わせお願いしますですぅ」 ……その時2人は気づくべきだったろう。 ティキの姿を確認した瞬間、先程まで氷の様な冷徹な表情を浮かべていた神姫=ネメシスの瞳に、溶鉱炉の炎にも似た光が宿ったのを…… 「ひゃっ!? あ、あぶなすぎるのですよぉ…!」 またしても特攻を仕掛けてきたネメシスを辛うじて回避するティキ。 今度は翼ではなく、本体ごと体当たりする勢いで突っ込んできたのだ。いくら質量に大きな差があるとは言えその戦法は自殺的行為。 今の攻撃もティキの驚異的な運動性能でなければ回避できないほどの鋭く深い=それはつまり危険の大きい自殺的な攻撃。 2人がつい先程まで観戦していたバトルでネメシスは、冷静沈着かつ確実に戦闘を進め、云わば『華麗な』高速戦闘を行っていた。 それが今回の特攻戦法である。2人が混乱するのも無理ないと言えた。 『ティキ、低空に逃げるんだ!』 「了解なのですぅ!」 MD推進器をフル稼働させ、まるで地表に落下する隕石のように急降下! 特徴的な光の翼が更に大きく強く羽ばたく。 それに追従し、執念深く追撃をかける漆黒の翼。 (低空であんな事をしたら地面に激突しちゃうはず。さっきまでみたいには動けないだろうから、その分ティキが有利なはずだ) 「マスタ! 何か距離が開いてきてるのですよぉ!?」 『え……』 ティキのその悲鳴のような報告にはっとなってスクリーンを凝視する雪那。 そこにはレーザーブレードの展開を解き、ティキの少し後方にピタリと付けたネメシスの姿。 「消し飛べ……私の前から、消えろ!」 ネメシスの呟きと共に、いや呟きが掻き消えるほどのレーザーライフルの発射に伴う甲高い駆動音と共に、2本の死神の槍がティキを破壊せんと一直線に猛進する。 2人とも最大速度での急降下中だったため、ティキは迅速な回避行動が殆ど行えない。 『ティキ、光の翼だ!』 「光の翼なのですぅぅぅぅ!」 次の瞬間、ティキの周囲は膨大な熱量の嵐に支配される。 やがて熱量は拡散し、焼き尽くされた空間に現れる影。 「……大丈夫なのですよぉ♪」 そこには自らをビームの鎧で包み込み、ダメージを打ち消し今だ健在なティキがいた。 背中より突き出た2門の攻撃ユニットは跡形もないものの、本体へのダメージは軽微。 ティキの両肘に装備されていたビームシールド発生装置と背中のMD発生装置を共振させ、4つのビーム発生装置で1つの巨大なビームのカーテンを演出し作り出したのだ。 だがそれは…… 「獲物……掛かった……!」 ティキの眼前には既にゼロ距離にまで接近してきたネメシスの姿。 射撃直後にレーザーブレードを展開させ、砲撃の陰に隠れる形でスピードを殺すことなくそのまま接近していたのだ。 ネメシスのブレードとティキの光の翼が、華麗で危険な火花を散らしながら激しくぶつかり合う。 そして2人は、その形状を構築しているフィールド同士が激しく干渉しあい、結果2人の刃はそれ以上押すことも引くことも出来なくなる。 「え?、きゃぁぁぁぁぁ!」 突如フィールドに響き渡る百舌のような小鳥の悲鳴。 ティキの愛くるしい顔に、ネメシスの手が覆い被さり、メキョメキョと気味の悪い軋みを立てさせている。 それは、ネメシスが己のアイアンクローでティキの頭部を粉砕しようとしている悪夢の如き光景。 ネメシスは干渉現象でお互い身動きが取れなくなった瞬間エトワールファントムから分離し、光の翼のもっとも薄いポイントをその腕のみで強行突破してティキの顔へと到達したのだ。 「その顔……醜く潰れろぉ!」 戦闘前の憂鬱な表情は過去の物となり、禍々しい狂気の笑みを浮かべながら、尚ティキの顔を粉砕せんと締め上げるネメシス。 だがメキメキと内部機構が異音を立てているのはティキの顔だけではなかった。 通常の武装神姫の手は然程パワー、耐久力の高い物ではない。 しかもビームを強行突破した時点で外装にもかなりの傷を負っている。そんな状態で耐久性の高い頭部を握りつぶそうというのだ。 ティキの顔がミシミシと歪む都度、ネメシスの指先からも異常パルスの閃光が走り、人口筋肉が付加に耐え切れず裂け千切れ、断絶の悲鳴を上げる。 「や……やめるのですよ……ぉ……っ……」 必死にもがくティキだが、光の翼は既に制御不能に陥っており辛うじて動く手で抗うしか方法がなかった。 だが、その圧力にゆっくりと力を失ってゆくティキ。その抵抗も空しく、限界を超えた頭部が粉砕されんとした、その時 「試合終了、フィールドアウト、WINNER ティキ」 フィールドに響き渡るジャッジAIのアナウンス。 同時に強制リングアウトされ、ポリゴン粒子となって消えゆくネメシス。 「……た、助かったのですぅ……?」 『そうみたい……かな……?』 後に残されたのは、急激な事態の変化がいまいち飲み込みきれず呆然とするティキと雪那の2人だった。 「……どうして、あんな事をしたの?」 少女の透き通った声が部屋に響く。だがそれは可憐と言うには余りにも負の感情が大きすぎて。 「………」 「ダンマリなのね。……まぁいいわ。もう二度としないと……誓いなさい」 「………」 「返事は?」 「……イェス、マスター」 短いその会話。 少女は果たして、気づいたのだろうか。 その神姫……ネメシスが、初めて彼女を、名前以外の敬称で呼んだという、その事実に…… 続く(18禁注意 トップへ戻る